氷の華 2 ページ17
ボクが監督生の両頬に手を添え、彼女を見ていると、彼女は口を開いた。
「私、あなたを知っているような気がするんです。私にとって大切な人で、忘れちゃいけない人のような気がするんです。
──あなたは、誰ですか?」
その言葉に大きくぐらついたのを感じた。
なんで。どうしてボクを知ろうとするの?
やっと、やっと忘れれたのに。
ボクなんて、君に必要ないのに。
君なぜ、ボクを求める?
「───あ...あれ.....。」
もうそれは、本能の域だった。
「.......あの花を摘んで。」
棚に置かれた凍ったシロツメクサ。
ボクはそれを指さした。
「あの、凍った花ですか?」
監督生はボクを見ていた。不思議そうな顔をしている。
「........それなりの覚悟があるなら。
監督生の人生が狂っちゃってもいいなら。」
ボクの言葉が理解できない、というような顔だった。
「例えば、赤ちゃんが出来たとしても。
監督生はボクを知りたいというの?」
赤ちゃん?と監督生はますますちんぷんかんぷんと言ったような顔をした。
「テメェ、何する気だ!」
寮長たちの中にエーデュースもいたらしく、そう声が上がる。
動いてる。邪魔される。
ミシミシミシッ
氷が棘となって彼らに歯向かう。
「──あの花を、取ればいいんですね?」
監督生はそう言った。
それは、YESという答えだった。
ボクは彼女の頬から手を離した。
「ごめんね」
監督生、君は美しいね。
監督生は凍ったシロツメクサを手に取った。
そして、ボクを振り返った。
「A、せんぱ......」
手に取ったシロツメクサが萎れ、ハラハラと枯れてゆく。
監督生はボクに抱きついた。
「せんぱッ.....A先輩ッッ....!どうして!今までどこにいたんですか?
なんでこんな格好ですか?!
.......どうして、苦しそうなんですか?」
涙を流しながら監督生はボクにそう言った。
「──もうさ、演じる必要なんてないんじゃない?いい加減ボクから離れて。」
ボクは監督生を引き剥がした。
「──ぇ.....」
監督生はボクを見た。
「ボクは君といると嫌でしかないんだ。見てて不快。そばに居るのも無理。はっきり言ってボクは君が嫌いだ。嫌悪でしかない。もうボクに近づかないでくれるかな。」
そう言った。
「な、なんで。私が襲われた時ッッ!!一番に助けてくれたじゃないですか!」
監督生はそう言った。
嗚呼、鬱陶しい。
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∞輪廻∞(プロフ) - アイスさん» ネージュはフランス語で雪という意味があるので、そう命名しました!そういう質問待ってたありがとうありがとう!! (2021年6月29日 16時) (レス) id: a7a0dcccc8 (このIDを非表示/違反報告)
アイス - こんにちは。とても面白くてすぐに読み切ってしまいました。ところで、夢主ちゃんの名氏が「ネージュ」ですが、なにかネージュ君と関係があるのでしょうか? (2021年6月28日 21時) (レス) id: 50003851a2 (このIDを非表示/違反報告)
∞輪廻∞(プロフ) - 夢色ふぅなさん» そういう反応を待ってたよぉぉ!!!()ありがとう!!無事完結出来て良かったです!ありがとうございました! (2020年11月28日 22時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
夢色ふぅな(プロフ) - 最後号泣しちゃいました…()とっても面白かったです…!! (2020年11月28日 22時) (レス) id: 4a2b5a8613 (このIDを非表示/違反報告)
メロンパンの皮(プロフ) - 灰鴉さん» あっ..........しくった........教えてくれてありがとうございます!すみません直しておきます!指摘感謝です! (2020年11月18日 21時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∞輪廻∞ | 作成日時:2020年10月24日 23時