狂い愛（短編集）

○ ページ9

『え？』

思わず声に出してしまった。
渉くんの逆鱗に触れてしまい、暴力行為をされた事は何度もあった。
しかし1度として刃物の類を用いたことなどなかったのだ。


予想外の事に唖然とする私の反応に満足したらしく、笑いながらカチ、カチと刃を出す。


そんな私の手を掴みカッターを向けた、、、が









｢、、、ってぇな、｣



やってしまった。
人間の防衛本能とはすごいもの。
渉くんを思い切り突き飛ばしてしまった。

あっ、、、と思った時にはもう後の祭り。
渉くんが操られた人形みたいな何も写していない目で私の方へ向かって来る。


諦めかけて目を瞑った。



しかし何もおこらなかった。


『え？』

２回目の間抜けすぎる声を出してしまった私をよそに渉くんは泣いていた。



｢なんでっ、、俺を拒むんだよっ、

好きなだけなのに、、、それだけなのに、、 ｣


まるで自分を追い詰めるように自分の太ももを叩く彼にどうしていいか分からず呆然と見つめる。

｢なぁ、、、？めあは俺が嫌い、、、？｣


さっきとはうって変わって子犬の様な目で見つめられる。

どう答えるべきか、と考えるもいい案など浮かばない。


でも、渉くんは私を本当に愛してくれてる。
それはわかっていた。ほんの少し愛が歪んでしまっただけ。

きっとそう。
渉くんをここまで追い詰めてしまった私が悪いのだ。

こんなの間違えている。
そんな事分かりきっていた。


でもこれが彼の愛ならもういいのではないか。

ぐしゃりと歪んでいくのがわかる。



『私は渉くんのこと愛してるよ』



彼を抱き締めながらそういうと安心したのか泣きじゃくりながら私を強く抱きしめ返す。




後ろで黒く笑う影など知らないで。



私は彼から逃げる事などできないのだ。


彼に出会った時から、彼を好きになってしまった時からの決定事項。




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一応このお話は完結です！

長かった、、、


このお話は個人的に気に入っているので、後ほどこれだけの長編のお話を書きたいなと思っています。

コメントたくさんありがとうございます！
モチベ上がって更新スピードが早くなるかもしれないのでたくさんくだされば嬉しいです、

支配愛 志麻→←○

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