12種類の結果パターン

ちょっぴり危険な夜へようこそ - 2024年4月25日

甘く堕ちて with Eve


「…あ、ごめん。起こした？」

「ううん、大丈夫」


控えめな音を立てて開いた扉の向こうには、しょぼんと犬みたいな表情を浮かべるいぶくん。そして彼の手にはドラッグストアの袋。

昨日の夜から身体だるいなと思ってたら38度を越える熱。

だけど仕事は休めないからと同棲中の彼の反対を押し切って出勤した結果ぶっ倒れた挙句彼に迎えに来てもらってしまって。


「よく寝たね、YOU」

「ほんとだ、もう日付変わっちゃう…
でも、楽になった」

「なら良かった」


ベッドの上で身体を起こした私の隣に腰を下ろして、私の頭をそっと撫でた。

私の頬が少し熱を帯びたのは、きっと私の身体を蝕んでる熱のせい。


「だけどまだ顔少し紅いよ」


そう言うと急に近づいてきた彼の顔。彼の綺麗で薄い手が私の前髪をそっと避けて、こつんとおでこをくっつける。「んー…」と声を発し、口の端をキュッと上げながら額を離した。


「やっぱ少し熱い」

「そ、かな……」

「これくらいで照れてるから熱上がるんだよ」

「なっ、」


少年のような笑みを浮かべて、彼が持ってきたドラッグストアの袋を漁る。

普段はワンコみたいなのにたまに突然見せる野犬な一面につくづく弱い私…


「食べる？YOUすきでしょ、チョコレート」

いぶくんが取り出したのはし私がすきなホワイトチョコ。

「…たべる」


私がそう言ったのを聞くと、彼はその銀の包みをペリペリ剥がし始める。そしてまだ綺麗な板チョコの端を加えてパキリ、と折った。

…あの微笑みを浮かべながら。


「え…？」

「ん、」


いぶくんは、チョコレートを咥えたまま再び顔を近づけて私の唇につん、とソレをあてて食べるように催促する。


「むり、だよ…」


彼は少し不機嫌そうな顔をした後、私の後頭部をぐっと抑えて半強制的に私の口にチョコレートを入れた。

ふわりと広がるホワイトチョコレートの甘い味、そして彼の唇の感覚。小さなリップ音を立てて離れた触れるだけのキス。

突然の出来事に呆然としながら、口の中に残ったチョコレートを噛み砕く。

「あま…」

小さく呟いて彼は再び唇を重ねる。今度はチョコレートではなく彼の甘さが脳に伝わりくらりとする。

「ふ、ぁ……」

互いの熱が混じりあって生じた吐息が部屋の冷たい空気に飲まれていく。唇が離れるまでが、風邪の私には少し長かった。


「一番右の星押してほしいな。続きは風邪治ってからね」

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