*永野葉月という人間 ページ21
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「あっ、センパィ!」
「っあ、」
永野さん、と言う前に、彼女が「こんにちはぁ!」と私の言葉を遮った。
「あ、あの、今急いでるんですっ、
すみません……」
「えぇ〜、葉月ショックだなぁ」
永野さんは全然ショックじゃなさそうに笑い、書類を持っていた私の腕を引っ張った。
「わっ……!」
「んぁ〜、全部バラバラになっちゃったぁ!
センパィってば、どんくさぁい!」
「す、すみませ…」
慌ててバラバラになった書類を集める。……早く副会長に持っていかないと、怒られてしまう。
そんな一心で私が書類を集めていると、永野さんがじっと書類と私を交互に見つめた。
「ど、どうかしましたか…?」
「……私、嫌いなんですよね」
一瞬、なんのことか分からなくなった。
永野さんは何を言っているんだろう、と三回ほど考えて、もう1度問う。
「えっと、何がですか……?」
「……わかんないかなぁ」
そう言い、永野さんは嘲笑うように私を見る。
「嫌いなんですよ。
___先輩が」
「え……?」
ドクン。
心臓が波打つ音が聞こえた。
そして、私の息の音も微かに聞こえる。
「……そ、う、ですか」
「うん」
永野さんはにこりと笑う。いつものような、あどけない笑顔で。
「だからって訳じゃないけど___
あんまりアイドルのみんなに関わると、痛い目に合うかもよ。」
「っ…!」
「何やってるのかナ、」
私が何も言えず座り込んでいると、静かな声が聞こえてきた。
その声は紛れもなく___
「逆先、くん……」
逆先くんだった。
「……はあ、ボクの先輩に手出ししないでヨ、通行人A」
「つ、通行人Aじゃないわよっ!」
永野さんはイライラした瞳で逆先くんを睨みつける。
「…先輩、立てル?」
逆先くんは私に手を差し出して、微笑んでくれた。
その笑顔にほっと安堵する。…怖かった。彼女の笑顔が。
「あ、ありがとうっ、逆先くん…」
私がお礼を言い立ち上がると、もう永野さんはいなかった。
「わ、私ももう行かないと…副会長に怒られちゃうから」
「じゃあボクも手伝うネ。重いでショ、その書類」
「あ…ありがとう」
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aya - 続編も楽しみです(*/▽\*) (2018年10月11日 17時) (レス) id: 8ea3c89cfc (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - マド姉可愛いもんね!分かる!!んでもって葉月ちゃん可愛すぎる(真顔) (2018年9月15日 23時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
恋@AI(プロフ) - SAKURA♪さん» コメントありがとうございます!ご期待に答えられるように日々精進していきたいです、これからもよろしくお願いします!! (2018年2月4日 16時) (レス) id: 459c302e28 (このIDを非表示/違反報告)
恋@AI(プロフ) - ゆーゆさん» コメントありがとうございます!なんかハッピーエンドものにしたかったもので…そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2018年2月4日 16時) (レス) id: 459c302e28 (このIDを非表示/違反報告)
SAKURA♪ - 逆ハー最高!!!ヒャッハーー!!! 次を、楽しみにしています!! がんばってください!! (2018年1月31日 20時) (レス) id: 497d452f2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋@AI | 作成日時:2017年4月21日 7時