彼女は、死んだ。 ページ22
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貴方「…こ…こは……」
目が覚めると、そこは見慣れない部屋だった。
頭だけを動かし周囲を観察してみれば、どうやら私は、小さな物置小屋のような所でひとり寝かされていたらしい。
その間に徐々に頭が冴えていき、意識を削がれた瞬間のことを思い出していった。
貴方「私は…生きてる、のか。」
起き上がろうとしたが、全身が痛み動かない。
その痛みと同時に、自分の身体の異変に気付いた。
片割れが……Mrs.Aがいない。
ロー「…ッ、A!起きたのか!!」
部屋に入ってきたローが、私が目を覚ましたのに気付き駆け寄ってきた。
私の身体に異常がないか、診察するローを眺めていれば、
ぽろぽろと感情がせきを切ったように漏れ出した。
ロー「何故泣いて…どこか痛むのか!?」
貴方「…“私”…が…いない」
ロー「……アイツは、死んだ。」
そっか、“A”は死んだのか。
不思議とそれを自覚すれば、すんなり受け入れられた。
きっとこの涙は、悲しいとかそんな気持ちではなく、
喪失感から来る、不安。
貴方「覚悟もして…受け入れていた…なのに、なんで…!!」
醜態を見せまいと腕で顔を隠していると、覆いかぶさるようにローに抱きしめられた。
彼の匂いを温もりをたぐり寄せるように
私も抱きしめ返す。
しばらくそうしていれば私も落ち着きを取り戻し、抱きしめる腕の力を緩めた。
それが合図だったようにローも私を解放する。
貴方「…眠っている間ロシーの夢を見たんだ。そこで彼に…愛してると、伝えられた。」
ロー「……そうか。」
先ほどまで不安そうに揺れていたローの瞳が、今は溶けてしまいそうな優しい眼差しで私を映している。
そんな瞳を見つめていれば、まだ体が本調子ではなかったらしく、次第にまぶたが重たくなっていく。
ロー「そのまま、寝ろ。」
貴方「…でも、」
君に伝えたい事があるんだ。
ロー「側にいてやる。」
その言葉に安心し、
私はまどろみに身を預けた。
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仮面タロウ(プロフ) - 天羽ステラさん» ここまで閲覧してくださり、ありがとうございました!この話は個々のキャラの中にある愛について自分なりに噛み砕いて時間をかけて考えて書きました。なので天羽ステラさんのコメントを見た時は本当に嬉しかったです( ; ; )これからも作品作り頑張ります! (2021年8月16日 21時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
天羽ステラ(プロフ) - 今読み終わったばかりなんですけど、すごく良かったです。どの”愛”もすごく深くて、本当に心から愛していて、ねじり合って、歪んでいながらも温かい。人間について考えさせられました。 (2021年8月3日 13時) (レス) id: 22784d1b48 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 神羅課長さん» ここまで閲覧していただきありがとうございました!!初めて書いた夢小説で思い入れも深いので、そう言って頂けて本当に嬉しいです…! (2021年5月25日 12時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
神羅課長(プロフ) - 完結おめでとうございます!!私はシリアスはあまり見ないのですが、この作品はスラスラ読めそしてとっても大好きな作品です!!伏線や夢主の性格が好きで一気読みしました!本当に大好きな作品です!!本当に完結おめでとうございます!お疲れ様でした!! (2021年5月23日 22時) (レス) id: 2c8b746ecf (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 弱音ハクはオレの嫁さん» 嬉しいお言葉…!ここまで閲覧してくださりありがとうございました( ;∀;) (2021年3月13日 16時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仮面タロウ | 作成日時:2019年12月18日 19時