114_赤井side ページ22
赤井side
窓の向こうから聞こえる波音が、車内の沈黙を包む。
「…ねぇ、赤井さん。」
少女の瞳は冷たく澄んでいて、静寂な闇夜に差す月光のようだった。
海を眺めていた視線が、俺へと向けられる。
「私の目的を知って、赤井さんは私のために“何か”してくれるの?」
「その“何か”にもよるな。」
「…本当に成し遂げてしまいそうだから、アナタはたちが悪い。」
少女の細い指が、俺の頬に触れる。
銃弾がかすり切れていたのであろうその箇所を、少女は親指で強めにぬぐう。
チクリと痛んだ後、固まりだしていた血が再び滲んだのが分かった。
「──赤井秀一。」
…あぁ、なるほど
あの夜、少女に名前を呼ばれたジンが不自然に動きを止めた理由がよく分かった。
少女その一言、その仕草から
目が離せない
「追求心や好奇心で──私を知ろうとしないで。」
か細い声だった。
けれど、確実に存在するその刺すような牽制に、これ以上探るのは難しいことを悟る。
「これ以上踏み込んでくるのなら、こちらも容赦はしませんよ。…いくら赤井さんでもね。」
かねてから、少女から一線を引かれていたことは分かっていた。
分かってはいたが、ここまで明確に自分の意思を隠していたとは思ってもいなかったな。
それが少し寂しいと感じたのは、おそらく俺の気の所為。
俺がこれ以上何も探ることはないと察したのだろう。
少女の視線が、瞬きひとつで慈悲深い眼差しへと変わった。
「……後で治療しなきゃ」
美しかったはずの銀色の瞳に
薄寒いものを感じた。
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仮面タロウ(プロフ) - 深月さん» ですよね!!!夜の美術館とか似合いそうだなぁと思って書きました!いつかは夜のシチュエーションも書いてみたいですね(^^) (2022年8月21日 11時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - ジン……!!!!休日に一人で美術館巡っているとか可愛すぎます!そして、わかりみが深いです、ジン美術館好きそう(笑)続き楽しみにしています。 (2022年8月16日 21時) (レス) @page44 id: 8da4958f2c (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 小宮瑠璃さん» 嬉しい…!ありがとうございます!! (2022年7月26日 22時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - あお。さん» コメントありがとうございます!現在元気に3股してます!笑 これから4になるのか、もっと増えるのかは乞うご期待!! (2022年7月26日 22時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
小宮瑠璃 - 仮面タロウさん» めっさ楽しみですぅっ!!完結まで私はこの作品を推し続けます!! (2022年7月25日 22時) (レス) id: dbce0c6b80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仮面タロウ | 作成日時:2022年6月28日 12時