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106_ベルモットside ページ14

ベルモットside



ドアの先に居たのは、ガラスの棺桶のようなものに入れられたスコッチだった。


彼の顔や身体は半分ほどが溶け、頭蓋骨や肋骨部分が露わになり、独特な腐敗臭もしている。

夏場でもない今の時期に、ここまで腐敗が進むのは考えられない…



「見ての通りだ。スコッチが自分を殺すために飲んだ薬の影響で身体が溶けてしまったんだ。」

「ライ!?」



振り向いたのはキュラソーと同時だった。

先ほど私たちが入ってきた玄関に、右手をポケットに入れドアにもたれるようにして立っているライの姿があった。

こちらをじっと見つめるターコイズグリーンの瞳は、相変わらず感情が読み取り辛い。



「何故アナタがココに?」

「ここは俺のセーフハウス…既に組織にも知らせてある。」



そう言いライは何食わぬ顔でAの隣へ行くと、慣れた手つきで彼女の髪をひと束すくい、そのままキスを落とした。



「先に他の男の元へ行くなんて、つれないじゃないか…俺のKitty(キティ)

「ふふ、ごめんなさい。おふたりがどうしてもスコッチさんに会いたいって言うから…」



その甘ったるいやり取りに、隣にいるキュラソーは頬を引きつらせている。



「あら、会わない内に随分と素敵なボーイフレンドができたようね?」

「…ライは、私がスコッチさんの家が無くて可哀想だと言ったら、こんな家まで提供してくれたとても良い人なんです。」



ふふっと笑うその顔に、いつもの彼女のような感情は乗っていない。

彼女にはもっと別のしたたかさがあると期待していたのに…、色々と残念ね。


痺れを切らしたキュラソーが、Aに銃口を向けた。



「アナタ…何故スコッチが生きているなんて虚偽の報告をしたの。」



それに対して、Aはキョトンと目を瞬いだ。



「え?だって、スコッチさんは“生きてる”でしょう?」



(オモテ)の仕事で何十年も女優の、それも最前線で一世を風靡し、なおかつ変装の達人であるベルモットは、芝居がかった人間の行動を見破るのに長けていた。


そんな彼女だからこそ、よく分かった。


Aのその言葉や表情には、
嘘や偽りがひとつも無かったことを

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仮面タロウ(プロフ) - 深月さん» ですよね!!!夜の美術館とか似合いそうだなぁと思って書きました!いつかは夜のシチュエーションも書いてみたいですね(^^) (2022年8月21日 11時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - ジン……!!!!休日に一人で美術館巡っているとか可愛すぎます!そして、わかりみが深いです、ジン美術館好きそう(笑)続き楽しみにしています。 (2022年8月16日 21時) (レス) @page44 id: 8da4958f2c (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 小宮瑠璃さん» 嬉しい…!ありがとうございます!! (2022年7月26日 22時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - あお。さん» コメントありがとうございます!現在元気に3股してます!笑 これから4になるのか、もっと増えるのかは乞うご期待!! (2022年7月26日 22時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
小宮瑠璃 - 仮面タロウさん» めっさ楽しみですぅっ!!完結まで私はこの作品を推し続けます!! (2022年7月25日 22時) (レス) id: dbce0c6b80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:仮面タロウ | 作成日時:2022年6月28日 12時

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