私の彼氏はニセモノです。3【赤司征十郎】

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今はバスの中で、隣にはAがいる。

ふとそちらの方を見るとうつむいて凄い思いつめているような顔をしていた。

哀しそうな顔。

凄く、物凄くつらそうで何かを我慢している顔。

何を我慢しているんだろうか……。

僕にはわからない。

でも、心配だ。だから訊いた。


「大丈夫か？」


と。そう言うとはっと少し驚いたかのような反応をしたがすぐにいつもの笑顔に戻った。


「大丈夫です。気にしないでください」


でもその笑顔はどこか無理をしていて。

作り笑いだな、とすぐに分かった。

だからと言って問い詰めるのは可哀想だ。

隠しているということはそれなりの理由があるはずだ。

だから訊かない。気になるが、心配だが。

僕はそう思いながら元の体制に戻して前の席を見る。


Aは時々ああいう顔をする。

最近、そう言う顔をすることが多くなった気がする。

前は滅多にしていなかったのに。

その理由を僕には言ってくれない。

心配なんだ。自分で全部背負いこもうとしているんじゃないかって。

心配で心配で仕方がない。

胸の奥がかすかにキュウッと締め付けられるような痛みを感じた。


何故だ……？

僕はそこでハッとする。

何故Aのことがこんなにも心配なんだ。

彼女のことで胸が締め付けられるんだ……？！

前にもあった。こういうことが。

暇なときに何故かAのことを考えてしまって、そのあと混乱していたことがあった。

他にもいくつかあって。

何故、こんなにAのことが気になるんだろうか。

いままでそういう人など一人もいなかったのに。

まるで、好きな人のことが気になるただの思春期の中学生みたいだ。

と心の中で自嘲して、何故かむなしくなってくる。

``好きな人のことが気になるただの思春期の中学生``

その言葉が頭に残って離れないんだ。

前に桃井が言っていた言葉を思い出す。


『私ね、テツ君が好きなの。テツ君のこといつでも考えちゃって、気にしちゃって……』


考えちゃって、気にしちゃって。か……。

僕はさっきまでいや、最近ずっとAのことが頭から離れなくて考えたり、気にしたりして。

僕は、僕はもしかしてAのことを









本当に好きになってしまったのか＿＿＿＿＿＿＿＿＿？

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