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森の中をどれだけ進んだだろう。

体力のある吸血鬼とはいえ、流石に足場の悪いこの道を、人一人抱えて走れば疲れるものである。


カ「はぁ、はぁ…流石の我も疲れた……
一松、ここらで休憩させてもらうぞ」

と、シスターに了承を得ようとしたが、どうやらまだ放心中らしい。返事が返ってくる事はなかった。

困ったな、と眉を下げ、其奴はシスターを木の根元に下ろした。


一「…あの消滅は……神に会った者の………願い…」

カ「一松」

よく分からない事を呟いている一松に、吸血鬼は声をかけた。
勿論、返事など返ってこない。そんなの分かっていた。

すると突然、カラマトゥがシスターのベールを破り捨てた。
その一瞬の刺激に、一松は目を丸くし、カラマトゥの方を見た。
正気に戻ったようだ。


一「…ぁ……ここ、ど、何処………」

カ「やっと此方を見てくれたな、一松」


偉いぞ、という様に吸血鬼は彼の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「な、やめてよ…!」と顔をしかめる一松は、どこか嬉しそうだった。


カ「…一松、君は死のうとしていたんだよな」

一「………ああ。今はより死にたいね。
取り返しのつかない事したって、気がついちゃったし」

カ「なら、君の命を俺にくれないか?」


いきなり意味のわからない事を言われて、一松は呆気にとられるしかなかった。

“俺の命を、くれ…?”

首を傾げて、後に頭を左右に振った。
難しく考えても、分かる訳がなかった。何せ相手は吸血鬼なのだ。


一「意味わかんねぇよ」

カ「…俺はどうやら、君を気に入ってしまった様なんだ。
でも君は自分の命を捨てようとしている。
それを拾ったら、所有権は拾った者のモノ、という事さ」

一「そうじゃねぇ…俺の命なんか、どう使うつもりだって聞いてんだよ。
俺はただそこら辺にいるようなシスター…いや、そこら辺にはいねぇか。
今じゃ俺は殺人鬼…大犯罪者……」


哀しげな顔で、また涙を流す彼を吸血鬼は抱き締める。
「離せよ…」と言ったシスターだったが、いつまでも離れない吸血鬼に負けたのか、
または考えが変わったのか、其奴を抱き締め返した。

一「くそ…すごい不本意……でも、今だけ、今だけでいいから…
離れんな…クソ吸血鬼……」

カ「今だけ、なんて言うな一松。
君も独りかもしれないが、俺だって独りなんだ…」


暫くして、一松がぱっと吸血鬼から離れた。

そんな彼の顔は、耳まで真っ赤だった。

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おそ松さんgirl(プロフ) - みくさん» ありがとう!頑張る!! (2018年6月3日 23時) (レス) id: 1f58a69c9c (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 面白いよ!更新頑張ってね! (2018年6月3日 23時) (レス) id: 7f167612e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:松壱 | 作成日時:2018年5月20日 12時

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