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「A、今日はありがとうな。」
御飯を食べた後、真緒が近づいてきた。
「…何が?」
「来てくれて。」
本当に幸せなんだな。凄い嬉しそうな顔をしてる。
そりゃそうか。綺麗なお嫁さんがいて、私の恋を応援できなくてごめんねとまで言ってくれるような、優しい仲間達がいて、沢山の人が真緒を祝福してくれているから。
「当たり前でしょ。幼馴染なんだから。」
本当はその枠に留まりたくはなかった。こんな肩書き捨てようとまで思ったのにやっぱり縋っちゃう。真緒の中のまた、特別な枠の中でいられるから。
「凛月もお前も、1番ずっと一緒にいるからな。今もここにいてくれて感謝してる。俺が今、こんなにも恵まれてるのはお前らのおかげだからありがとな。」
しみじみ語ってるとこ悪いけどきっとそれは真緒の性格でしょ。膨れっ面のまま、ワインに口をつけた。喉が痛くなってくる。
「じゃあこれからも俺のお世話よろしくね、まーくん。」
いつの間に隣にいたのか、凛月が幸せそうにうつ伏せた。
「凛月はもうちょっとひとり立ちしようとしろよ〜。」
はぁ、と全く悩んでなさそうなため息の後、真緒はこっちを向いた。
「…Aもずっと一緒にいてくれてありがとな。お前は俺に世話になってるとか思ってるかもしれねぇけど、お前が思ってるより俺はお前に頼ってばっかりだったよ。」
キラキラした星みたいな目に吸い込まれそう。
「俺が挫けた時も、お前がさ、ずっと励ましてくれてただろ。俺があいつと結婚するまでに至ったのは、結構お前のおかげもあるんだからな〜。ほんとにありがとな。A。これからもおじいちゃんおばあちゃんになってもよろしくな!」
なに、お別れみたいに語ってんの。
「真緒の馬鹿、そんなん言ったところで何になんの、本当全然似合わない。」
また、ついカッとして言ってしまった。
「わ、A泣き虫まだなおってなかったんだ。」
「うるさい、凛月。」
ぼろぼろと両目から零れる雫は、どんなに拭っても全く止まりゃしない。
「真緒は、ほんとにどんなに一緒にいようが私のこと分かりはしないし、気づかないしどうしようもない男だよ。来世でもきっとまとわり続けてやるからね。絶対だからね。」
「はいはい。まとわりつかれてやりますよ〜。」
次は恋人として。
願いは叶うかな。
叶わなくてもいいから。
真緒とずっと平穏な日々を暮らしたい。
真緒は懐中電灯じゃないよ、私の一番星だから。
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作者名:紫乃月 | 作成日時:2020年1月20日 0時