動いたここじゃ始まらないから (ページ19)

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相葉side

正直死んだと思ったあの瞬間。

もう二度と合わせて貰えないんじゃないかと体が震えた。

でも｢雅？｣母さんから名前を呼ばれるのはいつぶりだろうと涙があふれた。

帰るつもりだったが体が勝手に動いてて、抱きしめていた。

抱きしめると母さんの匂いが弾ける。

力が抜けるくらい柔らかくて優しくて安心する香り。

それを気持ち悪いくらいに吸い込み、母さんがいるってことを実感してた俺。

すると急に苦しそうに噎せ出す和。

あとから聞けば、高熱で消化器が弱ってて嘔吐してしまったとか。

今は元気に俺とAPEXで対戦する和。

母さんがいる中堂々と和と過ごせるのは夢のようだ。

和｢母さん…まさきばっかり…｣

母さんは会えなかった時間を埋めるように俺の頭をずっと撫でている。

それをずっと見ていた和は嫉妬して、『俺も！』と言わんばかりに俺らを睨みつける。

すると母さんは今にも泣きそうな顔で、俺らの頭を同時に撫でた。

もう一度見てみると、嬉しそうに笑って静かに涙を流していた。