動いたここじゃ始まらないから (ページ18)

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母side

息子の苦しむ姿は何回みても慣れない。

苦しそうに頬を赤らめる和は、Jくんと翔くんが来てくれたおかげかさっきより和らいでる。

今回の入院は和の苦手な輸血の治療があるから少し長くなりそう。

家から持ってきた和の着替えたちを袋から取りだし、備え付けのロッカーにしまい込む。

母｢わっ！！！！！｣

ロッカーを開けると背の高い小顔な男の子が片手にタオルを持って構えている。

？｢…こ、こんにちは｣

ぎこちない笑顔を作る君。

母｢雅…｣

本能的に名前を呼ぶ。

自分でも驚いた。

雅は目に涙を溜め私を見つめる。

雅｢ごめんなさい｣

そう言ってロッカーから出て、病室を去ろうとする。

でもドアの前で立ち止まる。

私の目からも涙が溢れてて雅が滲んで見えない。

すると体が大きな何かに包まれる。

雅｢母さん、会いたかった｣

私よりはるかに大きい体。

抱きしめ返すと分かる、しっかりした筋肉。

雅の体から昔と変わらない雅の匂いがする。

雅｢母さん…母さん｣

子供のように泣きながら私を呼ぶ雅。

和｢けほげほっ｣

感傷に浸ってるとベッドサイドから聞こえてくる和の咳。

抱きしめた体を緩め、和を見る。

すると苦しそうに嘔吐する和。

雅｢和、？横むくよ｣

雅がすぐさま駆けつけ、和の体を横にする。

『生徒会長さんの対応が素晴らしくて。すぐに横を向かせてくれたのが不幸中の幸いでしたね。』

『櫻井くんもそれを見てなんとか持ち直したとか。すごいですよね。やっぱ生徒会長なだけあるわ。』

看護師さんたちが言ってた言葉を思い出す。

雅｢和、何回か咳して？喉に詰まっちゃうから｣

かっこよく逞しく成長した雅。和を一生懸命介抱する姿がお兄ちゃんそのものだった。