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｢和ちゃん、分かる？分かる？｣
8円のシャツをボタンが取れてしまうほど勢いよく脱ぎ、
それで和也の身体を覆い、声をかける雅紀。
｢潤、泣かないの。大丈夫だから、ね？｣
伊達メガネを取り、兄の顔をして微笑む翔。
荷物持ち担当にされてる長男、智。
彼らには握手会に行くという選択肢がなく、
2人の弟を抱え、急いで家に帰ろうとする。
酷い頭痛と高熱からくる嘔気があり、
万が一吐いてしまったらということを考えると
公共交通機関には乗れない和也。
そんな彼を配慮し、家までの長い距離を兄たちが
順番こに抱えて帰ろうとする。
｢うっ、、、げほっ、ぇほっげほっ｣
ついに嘔吐してしまった和也。
公園のトイレということもあり、
臭いがきついため、さらに苦しそう。
｢ごめっ、、なさっ、、げほっげほっ｣
激しく背中が波打つ間に、涙を流しながら
ごめんなさいを連発する和也。
｢大丈夫大丈夫、汚いと思ってないから、
スッキリするまでもうちょっとだから頑張って｣
｢ちがっ、、ちがうの、、、、っうえっ、
あくしゅかい、たのしみ、、、ごめん、、、｣
｢えっあっ、そのことに対して？？
いいよ、全然気にしてなかった。大丈夫だから、謝んないで。｣
小学1年生の和也のそんな言葉に驚きを隠せない兄たち。
こんな小さいうちから思いやりが凄いなんて、、と感心している様子。
｢あんなに貢いできたのに、、
悔しいけど、こっちの方が可愛くて降りざるを得ないね。｣
｢だね。。。｣
それからというもの。
兄たちは弟に沼り、今まで推してたアイドルから推し変した。
｢なんなのよこれぇ、何枚あるのよ。
恥ずかしいったらありゃしない……。｣
3人で作った“マイガール”という文字と、
それぞれの顔がプリントされたTシャツ。
｢いやぁ、母ちゃん、これはねぇ、
舞賀のまいがと、ガールのように可愛いって意味を込めて
“マイガール”になったの。吸水性もいいし、よく熱出す和に良いでしょ？｣
｢確かに吸水性は良いけど、、良くない！き、きっ、きもい！
それに、、恥ずかしい！
さっき、様子を見に来た看護師さん、笑いこらえてたわ。｣
体調を崩して入院している和也。
言い合いになってる母親と雅紀を苦笑いして眺めている和也。
そんな彼が実は、、“マイガール”というのを考えたんだ。
そう。舞賀和也は、こう見えて、家族を、兄弟をいちばん愛してるのであった。
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2022年11月27日 13時
