胡蝶の夢【幸村精市】

閑話 ページ40

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「兄さんは本当に強引だね。Aさんもこんな人に愛されて可哀想。勝手に結婚式の日にち決めるなんて……女にとっては重要なことなんだよ？」




「俺にとっても重要なことだと思うけど。」






俺とAが結婚する数日前の話。

妹と以前から結婚式の手筈について話していた。

Aの両親にはきちんと挨拶したし、Aの友人や立海テニス部の皆にも結婚式の招待状を送っている。





「次の大会はアメリカだから、Aと離れるのが嫌でね。日本で結婚式を挙げて一旦アメリカに移住しようと思うんだ」




「うわぁ……だからこのタイミングで結婚？そもそもAさんが了承してくれるかも分からないのに」




「……きっと、大丈夫」




なんて言ってみたものの、正直……自信がない。

受け入れてくれなかったら、と思うと不安で夜も眠れない。

最近は練習が忙しくてAに会えていないし。





「……兄さん、緊張してるの？」



「……そうかも。今までのどんな試合よりも、ね」



「えー？いつも私にAさんとの惚気話してたでしょ？その時の勢いはどこ行ったの？」








Aとは本当に色々な想い出がある。

今までのことは、夢じゃない。

ちゃんと現実だから。







「凄いニヤけてる……。まぁ、兄さんとAさんはお似合いだもんね。兄さんにはもったいない人だよ」



「そうだよね…！Aは＿＿」






妹は呆れた顔で俺の惚気話を聞いてくれた。

明日のプロポーズは、絶対に成功させるんだって＿＿




そう、心に誓った。





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