現在 side you ページ37
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『……なんだか高そうじゃない?ドレスコードが必要なお店なんじゃないの?』
「あぁ、大丈夫。今日は貸切にしてもらったから」
とんでもないことをさらっと言った精市。
私は気が気じゃないよ……。
店員さんに会釈をされながらお店の中に入る。
私はこういうお店が苦手なため、精市に誘われても断るのだが……今日は断る隙もなかった。
『……当たり前だけど、人がいなくて不思議』
「ふふっ……Aのためならなんだって貸切に出来るよ。じゃあ、夜景がきれいな窓側に座ろうか。」
自然に私をエスコートする精市。
こういうのって、どこで覚えてるんだろう…。
席に座ってしばらくすると料理が運ばれてきた。
マナーは気にしなくていい、と精市が言うのでいつものように食べ始めた。
「次の大会はアメリカで、っていう話は既にしてたと思うんだけど……あの越前リョーマも参加するんだ」
『え、そうなんだ。……なんだか全国大会の決勝を思い出すなぁ。』
越前くんもプロのテニス選手。
二人がプロになってから初めて対戦するかもしれない相手なのだとか。
精市と越前くんは反対ブロックで、上手くいけば決勝で対戦する可能性がある。
アメリカ、ということは……
またしばらく精市に会えなくなる。
今でさえ近くにいても遠い存在だと感じてしまう精市と、遠距離恋愛なんてやっていけるのだろうか。
将来への不安で、美味しいはずの食事の味がよく分からなかった。
「……あの、さ。俺、Aに何か悪いことをしてしまったかなって。良かったら、理由を聞かせてくれるかい?」
食事の手が止まっていた私に、精市がそんな言葉をかけた。
思い出すのはあのニュースで、美女に照れていた精市の顔。
多分……浮気、なんだよね。
自分に魅力がないことは重々承知している。
あの美女と精市の方がお似合いだってことも。
『……精市に出逢えたこと、奇跡だと思ってる。
今でも精市と付き合ってるのが夢みたい。
……私、自分に自信がないんだ。』
「……俺も、自信がないよ。今だってこんなに緊張してる。」
俺は精市の声が少し震えていることに気づいた。
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「そろそろ、この関係を終わらせたい」
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____やっぱり、
なんとなくこうなることは、
分かっていた
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アマリス(プロフ) - はあー・・・。良かった!プロポーズか・・・。別れなくて良かった。疑ってごめんなさい、幸村君!夢主とお幸せに! (2019年10月31日 15時) (レス) id: 9443474794 (このIDを非表示/違反報告)
アマリス(プロフ) - シリアス過ぎる・・・。幸村と夢主が別れるなんて嫌!!ダメ、別れないで!! (2019年10月30日 9時) (レス) id: 9443474794 (このIDを非表示/違反報告)
Le-ca(プロフ) - スッゴく面白いです!ゆっきーと立海推しだから楽しい!それに、文章力とタイトル、語彙力に話の進め方が最高。シリアスありつつ、硬くなったり飽きないから大好きです!これからも頑張って下さい! (2019年9月29日 20時) (レス) id: 0ae78945e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そらの | 作成日時:2019年9月23日 16時