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拾壱. ページ14

「ねーねー!」




授業が終わり、昼休みとやらに入ったころ。
沢山の人たちが囲ってきた。思わず歪めそうになる顔を我慢して必死に保つ。
だけども、少しでも油断したら睨んでしまいそうだ。

それはどうやら今剣も同じようで、彼もあまりいい反応を示さなかった。




「好きな食べ物は?」

「好きな色とかある?」

「出木杉くんよりかっこいいね!」



沢山の質問が飛び交う。
さらりとかっこいいとほめられたのだが微塵もうれしくないと思った。

何も答えずにいると、大柄な人の子がやってきた。周囲から頭一個分飛び出て大きい。
……何をしたらそんな大きくなるのだろう。

身長がコンプレックスな僕は思わず劣等感を感じてしまった。だって、僕100年以上生きているのに身長は太鼓鐘貞宗と一緒なんだもん。




「どけっ!いいかお前ら、今から俺様の番だ!」




彼が言うと、周囲は大人しくなり渋々引き下がった。





「てめえ、名前は?」

「…………さっき名乗った」

「ちげーよ!下の名前だよ!」




正直言って教えたくない。だけど、教えなければ刀剣男士に時の政府が危害を加えるかもしれない。
そう思って、渋々A、と小さな声でつぶやいた。




「A君っていうんだ!今度僕の家おいでよ!ドラえもん紹介するよ!」

「こらのび太ァ!今俺が喋ってんだろ!」

「じゃ、ジャイアン!」




じゃいあん、そう呼ばれたその大柄の人の子はのび太と呼ばれた人の子に掴みかかった。

……やはり、人の子は乱暴で信用ならない。
心底そう思った。それは今剣も一緒のようで、胸の中で「やはりひとのこはしんようならないですね」と話しかけてきた。


そうだね、そんなことを心に呟きながら石のねっくれすを握る。
この石のねっくれすは、僕の誕生日に刀剣男士がくれたものだ。

一種の御守りで、この石の中にはそれぞれの刀剣の破片が入っている。
入っていることによって、何処でも顕現させることが出来て、その場にいなくとも会話ができる、そんな代物だ。



人の子同士が喧嘩するのを横目に、顔を伏せて目を閉じた。
人の子がいる場所で顔を伏せるなんてありえなかったが、懐に今剣がいると思うと酷く安心できた。

拾弐.→←拾.



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推し達愛されたい(プロフ) - 更新待ってます!(p`・ω・'q*) (2021年9月19日 12時) (レス) id: eb578b821e (このIDを非表示/違反報告)
深夜 - どストライクで好きです!これからもがんばってください (2021年4月4日 14時) (レス) id: ac9ea2622c (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - この作品大好きです!応援してます(p`・ω・´q)ファイト!更新待っています!!!!!頑張って下さい!! (2021年1月1日 15時) (レス) id: b56337ada7 (このIDを非表示/違反報告)
乱数 - 更新待ってますぅー!!!!!!!めっちゃ好みなんだけどぉ!?この小説!!作者さんありがとぉ!!!!! (2020年10月24日 19時) (レス) id: caaaa82ffc (このIDを非表示/違反報告)
じじい - あるぇ更新ェ… (2020年5月23日 22時) (レス) id: 4b35f08325 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2020年2月18日 17時

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