綱吉の試合 ページ9
「ハァ……ハァッ…」
滴る汗を拭いもせず、ボールに神経を集中させる。
辺りを見回すが頼れそうにはない。
(皆マークされてる……)
前に立ちはだかる自分よりも20cmは高いであろう選手相手に一人で切り抜けなければいけないのだ。
(どうする……?誰もパスが……嫌……一人足りない!)
バシッ
綱吉は自然と体が動き、ボールを誰もいない後方へと投げた。
誰もいないはずの場所へ飛んだボールはーーー黒子がキャッチした。
そう、黒子だけは相手のマークを逃れていたのだ。
「ツナ君!!!」
「ナイステツヤ!!!」
綱吉は前の選手の横をすり抜け走り出し、黒子のパスをキャッチした。
相手選手は誰もいなかったはずの場所からのパスにポカンと口を開けている。
そうこうしているうちに綱吉の百発百中のシュートが決まった。
「ツナ!初試合、絶好調だったな!」
「テツヤのパスのお蔭だよ」
綱吉は謙遜するが、綱吉の活躍は今回の勝利にかなりの割合で貢献していた。
そして綱吉自身も、自分の力を全て注ぎ込んでするバスケに、心を奪われていた。
(チームメイトと戦う、そして相手を傷つけない……凄く楽しい!!)
ダメツナ時代は球技がダメダメで嫌いだったバスケだが、ちゃんと学んでやればできるものだ。
超直感の支えもあり、自分にぴったりなスポーツだと綱吉は思った。
「にしてもツナ君、どうして君は僕の居場所が分かるんでしょうか?」
「あ、それ俺も気になってたッス!全く後ろを見ずに投げたパス、アレが通るとかびっくりッスよ!」
黄瀬はまだ一軍昇格したばかりなので今回はベンチだ。
綱吉も少ししてからでないと出させてもらえなかったので黄瀬も我慢しなくてはならない。
「んー…何か分かるんだよね。けど大輝とテツヤのコンビも殆どアイコンタクトなしじゃん。流石、帝光名物、光と影」
「名物ってなんだ名物って」
綱吉はするりと話をすり替えた。
流石に勘です、とも気配を察知しました、とも言えない。
気づくと話題はまた綱吉へと戻っていた。
「それでもツナっちのシュートは……」
「んん?ツナ……っち?」
黄瀬のびっくり発言に話を止める。
「俺、尊敬とか認めた人にはっちをつけるんッス!」
「沢田っちでなく?」
「ツナって呼んでたのに苗字へ戻るのはなんか他人行儀ッス」
「……せめて綱吉っちにしてくれる?」
「??了解ッス!」
流石にツナっちは【たまごっ○】みたいなのでやめさせた。
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舞花(プロフ) - 麒麟さん» ありがとうございます(^^) (2016年11月27日 21時) (レス) id: f59e8517c8 (このIDを非表示/違反報告)
麒麟 - 何ですかこの面白さわ!更新お願いしますね! (2016年11月27日 18時) (レス) id: 65300ee319 (このIDを非表示/違反報告)
舞花(プロフ) - リズさん» ありがとうございます (2016年11月5日 20時) (レス) id: f59e8517c8 (このIDを非表示/違反報告)
リズ - やっぱり面白いですね! (2016年11月1日 21時) (レス) id: 9929c522bf (このIDを非表示/違反報告)
舞花(プロフ) - リズさん» ありがとうございます^_^ (2016年10月28日 7時) (レス) id: f59e8517c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舞花 | 作成日時:2016年9月21日 15時