58話 ページ10
「ゲホッ」
心にぽっかり穴が空く(物理)というのはこういう事なのだろう
あー意識がヤバい
「きょ、かちゃ………」
「っ…!!」
躰は勿論動かせる訳もなく、無抵抗のまま何かに乗せられた
ガンッと背中に衝撃が来て思わず咳き込む
もう少し優しく乗せろよ、芥川
太宰side
「あ、そういや数日前に敦に会ったぞ」
「……は?」
「手前の云う敦君ってのは芥川が担当してる人虎の敦だろ?」
何云ってんの此奴
そう思うほど中也の口から出た言葉に動揺した
「……その様子じゃ相当のお気に入りッて感じだなァ。じゃあ風呂に一緒に入ったッてのは云ったら俺得」
「ふ、ろ……?……どう、いう……」
一緒に風呂?
詰りは裸って事だろう?
「何で、そんな事に…」
「銭湯で偶然遭遇だ。俺も敦も最初は初対面みたいな対応だったんだがな……きっとありャ最初から気付いてたな」
「……マフィアの幹部である君に、かい?」
「嗚呼。それに彼奴、どんなリアクションでも一瞬だけ一線置くんだな」
「………」
敦君が彼の存在を知っていた。それも気になる事ではあるが、私の知らない所で私より遠い存在である人間が私より敦君の事を知っている
そう思うだけで腹の奥底から沸々と何かが沸き上がる感じがした
非常に不服だ
「それに何だありャ、まるで女………否、別人みたいな顔見せたンだ。けど俺の裸見て動揺してなかったみてーだし……」
「そろそろ黙ってくれないかい?君の声が耳障りなのだけど」
「あァ!?」
耳障りというのは本当だけど、これ以上聞きたくなかったという方が理由としては正しいかも知れない
中也は舌打ちをして自身の上着を拾って階段を上る
「そういや」
中也が途中で足を止めて此方に振り返った
「何だい?さっさと失せてくれ給えよ」
「俺だって手前の顔見たくねーよ。だがコレだけは云わなきゃなんねェ」
「さっさとしてくれ。時間が無いのだよ」
「敦のココ、柔らかかったぜ。ごちそーさんって伝えとけ」
彼が自身の指で差したのは右頬
柔らかかったと云うだけなら触っただけという可能性はあるが、あの帽子置き場の口角の上がり工合を見るとそうではない
それだけ云ってまた足を進めて行った
「……邪道が」
「手前もだったろーが放浪者ァ」
地獄耳が
帰ったら一寸お話する必要があるようだ。じゃなきゃ気が済まない
はぁ……もやもやして気持ち悪い
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銀色ミカン(プロフ) - 1話から一気見しちゃいました!面白いです!更新待ってます。頑張ってください! (2017年12月17日 2時) (レス) id: c55513f974 (このIDを非表示/違反報告)
時雨零(プロフ) - お待ちしておりました!おかえりなさい! (2017年11月14日 0時) (レス) id: 7585b82a1c (このIDを非表示/違反報告)
芋娘@悪の伝道師?ウリエル?(プロフ) - ファッ!?オーストラリア!?あらまー…お気を付けて!! (2017年10月31日 14時) (レス) id: a51cded6e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - オーストラリア!!!羨ましい…!楽しんで下さい!!! (2017年10月30日 22時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)
ロイゼ@魔法契約民(プロフ) - いってらー、です! 楽しんできて下さいね(^^*) (2017年10月30日 16時) (レス) id: 677bf3b84c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のんのーー | 作成日時:2017年10月15日 20時