5話 ページ7
太宰さんは指を此方に向けて差した
それに自然とぞっとする何かを感じる
「……猛烈に嫌な予感がするのですが」
「君が『人食い虎』に狙われているなら好都合だよね」
先刻の表情は気の所為だったのか?
今度は非の打ち所が無い笑顔を浮かべて云い放った
「虎探しを手伝ってくれないかな?」
此奴、矢張り詐欺師なのでは……?
きっと今の私の表情はジトっとした目で彼を見つめているのだろう
「詰り、囮………あ、違う。『餌』になれと?」
「囮の方が正しかったかなぁ」
拒否した所で報酬という金で釣られて結局は首を縦に振ってしまうんだ
元々拒否権なんざ存在しない
「国木田君は社に戻ってこの紙を社長に」
「おい、二人で捕まえる気か?まずは情報の裏を取って」
「いいから」
口調は優しいのにどこか有無を云わせないものがあった
そして彼は私の方にも顔を向けて、敦君も良いね?だなんて確認を取るような表情を浮かべた
それに黙って頷くだけだ
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んで、今居るのは何処かの倉庫の中
不法侵入とかは気にしたら負けだ
太宰さんは読書中だ
題名『完全自 殺読本』
……暗い所で何て本を読んでるんだ
「……本当にここに現れるんですか?」
「本当だよ」
今私が座っている木箱の山も簡単に壊しちゃうのか……これから料理は包丁要らずだね
「心配いらない、虎が現れても私の敵じゃないよ。こう見えても『武装探偵社』の一隅だ」
「はは……凄いですね、自信のある人は」
膝を抱えてそこに顔を埋める
「僕なんか孤児院でもずっと「駄目な奴」って言われてて……そのうえ、今日の寝床も明日の食い扶持も知れない身で」
天下のどこにもお前の居場所はありません__
この世から消え失せるがいい__
そうだ、私は消え失せればいい
君ではなく、私が
だからこの苦しみは私のモノだ。君のモノじゃない
「こんな奴がどこで野垂れ死んだって……いや、いっそ喰われて死んだ方が……」
皆が守るのは「中島敦」という存在で、皆が視界に入れるのは彼のみ
「却説……そろそろかな」
その声に顔を上げると窓から綺麗な月が見えた
ガタンッ
「!」
奥で物音が聴こえて思わずそこから飛び退ける
「きっと奴ですよ太宰さん!」
無色透明となった私は
「風で何か落ちたんだろう」
透明なだけに
自分が判らなくなってきた
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或 - 初めまして。小説読ませていただきました。作風が悠りんさんと同じ気がします。作成日が悠りんさんは2016年のんのさんが2017年なので・・・とてもいい作品なので参考にするのはとてもいいと思いますが、あまりにも酷似するのは良くないかと。 (2019年10月25日 17時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
暁 - 蟻酸さん» 他の作者さんも敦くんの成り代わり設定のものを書いてらっしゃる人も多いです。それに、別に本誌にないくだりを考えていれてもいいのでは?本誌と同じようなものばっかりでは、あまり面白くないと私は思います。前のコメントに長文失礼しました。 (2019年3月30日 15時) (レス) id: d703cd32c3 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - 蟻酸さん» のんのーーさんではありませんが失礼します。悠りんさんの作品は確かに成り代わりですが、のんのーーさんの作品は確かに成り代わりという形ですが、二重人格です。文豪ストレイドッグスが人気なため、成り代わりという設定が似てしまうのは仕方がないと思います。 (2019年3月30日 15時) (レス) id: d703cd32c3 (このIDを非表示/違反報告)
蟻酸 - 悠りんさんの作品に酷似してる気がします。特に19話の「歩きづらい」からが本誌にはないくだりです。その他にも似ているところが多々あるのでリスペクトするのも程々になさって御自分のストーリーを書いてください。私はのんのーーさんが考えたストーリーを読みたいです (2018年11月24日 12時) (レス) id: ee7a50357d (このIDを非表示/違反報告)
るー - 顔文字使ってないの良き。 (2018年11月19日 22時) (レス) id: 17e5b43388 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のんのーー | 作成日時:2017年9月19日 0時