【文豪ストレイドッグス】私は君で、君は君

43話 ページ45

「復活しましたー！」


「おぉ、起きたか小僧」




太宰さんがクルッと椅子を回転させて目を合わせてきた

そしたらニッコリ笑って




「二日も寝るなんて、随分お寝坊さんなんだねぇ」




中々棘のある事を云ってきた


うん、笑顔が怖い




「アハハ……えー、と………」




成る程、どうも乱歩さんが膨れっ面になるわけだ


こうね、先刻まで凄く可愛らしかったのに今は目を合わせたらそっぽを向いて頬を膨らませている

まぁこれもこれで可愛い




「ねぇ敦君」


「はい、何ですか？」




乱歩さんが膨れっ面のまま手招きをした


彼の近くへ行き、少し屈んで姿勢を低くする




「君は息抜き程度に出てくるって云ったけど、僕は意地でもAを頻繁に呼ぶから」


「え……」


「最悪、大声で君の存在を云いまくる。主に太宰」




無言で彼から離れたのは当然の行動だと思う




「じ、冗談デスヨネ？」


「くっくっく……割とガチ」




まぁ、その時は無視を通せばいいか


でもこの様子だと私で遊んでるんだよな、この人

社長に相談するってのも一つの手だよな




「それでだ、小僧。先日の事件についてなのだが、彼女等は自首したそうだ。残りの組織の奴等は解散をして、必死に就職活動中だ」


「そう、ですか………良かったです」


「平和的解決で終わって良かったと私も思っているよ」




太宰さんは立ち上がって此方に向かってきた




「良く頑張ったね」




そして頭に手を置いて、その手を左右に優しく動かした

それがあまりに気持ち良いものだったから思わず目を細める




「っ、……国木田、敦君に何か云う事有るんじゃないの？」


「あ、そうでした」


「……？何ですか」




乱歩さんの口からそんな言葉が聞こえたから太宰さんの手から離れて国木田さんの方を向く


国木田さんはピシッと親指で仕事机を指し




「お前の仕事、溜まっとるぞ」




二日も寝ていた自分を恨みたかった瞬間だ

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