【銀魂】棘を包んだ花

力技な理論 ページ38

ー沖田サイドー


パトカーの中に押し込んだAを一瞥し、
その場を離れる








「お疲れさんです土方さん」

「・・お疲れさんじゃねーんだよ。勝手なこと
しやがって。どう責任取るつもりだ」




げっそりとした頬。力なくふかれた煙が、
夜空に舞う。そんな姿に、死ぬならさっさと死んじまえと内心で悪態をつき。





「オジョーサマは無事助け出し、他の被害者に
関しても怪我人はゼロ。どこに問題があるんです」

「大有りだバカ野郎！屋敷に直接バズーカぶっ放す
なんざどんな荒事業だよ！？」


「別に考えなく突っ込んだわけじゃありやせんぜ。
あの犯人どもには人殺す度胸がねェ。となりゃ、
強行突破しちまっても死人はでねェだろうってね」

「そりゃ仮説だろうが！」


「不確かじゃねェ事柄に挑戦していくことが
大事なんでさァ。安全策じゃ自分の殻は
突き破れねェ」

「いいこと言ってる風だが力技だからなその理論」





正直、どこにAがいるのやら定かではなく。
自室の場所さえ把握していなかった中で使う策では
なかったかもしれないが、ーーまあ、結果良ければ
全てよしというやつだ。






「ったく、・・滝峰Aは？」

「隊車ん中です。ちょいと放心してるんで、
取り調べはまだ待ってくだせェ」


「そうか」





どこか遠くを見つめるように、Aは呆然と
焦点の合わない瞳を俺に向けていた。

当たり前だろう。刀を向けられるなんざ、
普通は万一にも起こり得ないことであるし、
ましてや安全な温室で育ったお嬢様が、
こんな経験、精神状態を保っていられるほうが
おかしいのだから。







「ーーーにしてもすげェ屋敷だ。
部屋確認して回るのに一苦労だな」


「そりゃあ、天下の滝峰家ですからねィ」





まあ俺がその一部を壊しちまったわけだが。





「総悟」

「なんですかィ」


「お前どうせサボるんだろ。ならここにいられても
邪魔なだけだ。・・・被害者のメンテナンスでも
やってろ」





いつもこうして格好つけるんだから、
この野郎はムカつくんだ。






「・・んじゃ、そっちはせいぜい社畜極めて
くだせーよ」

「余計なお世話だクソったれ」




すぐ戻るといいながら、随分と時間を食っちまった

さて、あのお嬢サマはどうしてるのやらと
パトカーへ足を進めた。

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