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一欠片の本音 ページ39

気温が下がっているんだろう。
少しの肌寒さを感じて、すぐに目が覚めた。


暖房が効いた車の中はいいが、外にいる人は絶えることなく白い息を吐き出していた。

そんな姿をぼーっと眺めていれば、ーーがちゃり、
控えめな音とともに、扉が開いた。









「落ち着きましたかィ」

「・・最初から、取り乱してなどいないはずよ」


「何言ってんです、普段の威勢の欠片もねェ癖に」

「眠気のせいじゃないかしら」


「・・・へえ、口は減らねェな」





どっこいせ、と年寄り臭い掛け声とともに、
私の隣に腰掛けた彼は、小さくと笑う。







「そんな調子で、よく殺されませんでしたねィ」


「当たり前よ。私に抜かりはないわ」

「・・ま、貞操は危なかったみてェだが」





沖田の目線が移動する。
私の体を見て、眉をひそめたのがわかった。



ちらりと見た先で、彼は珍しく、瞳を揺らしていた

何だかこれまでの私たちの間にはなかった雰囲気が
流れている気がした。







「ーーー泣かねーんですか」

「え?」

「でけェ野郎に刀突きつけられた挙句に肌晒されて
んなもん、女が耐えられるようなもんじゃねェや。
泣いて媚びるってのが定石じゃねェですか」



沖田は、一向に触れてこない。
所在なさげに彼の手が時折微々たる動きを
見せるのだが、それが私に届くことはない。

先ほど私に起きた出来事について
気を使ってるのかもしれなかった。





「・・それ、犯人の男性にも言われたわ」

「やっぱ減らず口は健在だったわけだな」





おとなしく震えときゃいいもんを、と
ため息まじりに呟いた沖田に、思わず笑みが零れた







「・・・何でィ」

「いいえ?珍しく心配してくれているんだなと
思ったものだから」






"嬉しくて"

癪だから、最後までは言葉に乗せなかったが、
きっと伝わったのだろう。その人は、目を丸くした






「・・・泣いても、仕方がないものね」

「仕方がない?」


「だって、あの状況では、父上が帰ってくるまで
解放されるような気配はなかったから」




それなら、静かにどんと構えていた方がいい。
あんな人たちのために怯えるなんてそんなの、
プライドか許さない。





(ーーーでも、まあ、)





あの瞬間、・・見知らぬ男性の手が、
私の肌に触れた瞬間






「少しも怖くないと言ったら、嘘になる」




沖田は、ゆっくり私を見据えた。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , ツンデレ   
作品ジャンル:アニメ
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シュシュ☆☆(プロフ) - ミズキさん» ありがとうございます!お忙しい中、こうして足を運んでいただけることが、本当に感謝でいっぱいです!楽しんでいただけていれば嬉しいです! (2018年1月23日 18時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ - 完結からかなり時間が経ってしまい、失礼ながらコメントさせて頂きます。夢主ちゃん可愛かったです!初めて真撰組に来た時と比べて性格も成長し、沖田君とも無事結ばれ・・これからも二人のほのぼのとした幸せが続く事を願っています(笑)新作も頑張ってください! (2018年1月23日 16時) (レス) id: d90ef8a117 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございますっ!ほのぼの系目指してたのでそういっていただけて嬉しいです!最後までお付き合いくださいまして、本当に感謝です! (2018年1月7日 8時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 少し遅くなりましたが、完結おめでとうございます!!なんといっても夢主ちゃんが可愛らしくて好きでした!沖田さんとの掛け合いにもほのぼのしました!素敵なお話をありがとうございます!お疲れ様でした! (2018年1月6日 22時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます!無事完結です!2018年、いいスタートを切れればと思います!2017年は、応援ありがとうございました! (2018年1月5日 19時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年12月9日 23時

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