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31 君は何しに部屋へ? ページ38

白布side

昼休みAに拉致られた翌日の夜。
俺は今、太一の部屋にいる。大した用はないが。



「珍しいじゃん。白布から部屋に来るなんて。なんかあった?」


「……なんか聞いてるか、Aから」


「……やっぱそのことかーー」



その反応は聞いてるな。
俺は昨日あいつに結構ひどいことを言ったと思う。でも迷惑だったのは本当だったから。本当…だったのか…?


傘。
突き返されたときは何のことかと思った。しばらく考えてやっと思い出した。受験の時、傘がなくて濡れて帰ろうとしたあいつに、俺が貸した傘だ。確かその日、消しゴムも貸したような気がする。試験前の百面相が面白かったのを、よく覚えてる。

貸してたこともう忘れてたけど、なんで今返した?そういえば願掛けって言ってたけど、何の?
頭の中で次々と疑問が浮かんでくる。




「だいたいのことは聞いたよ。めっちゃ泣いてた」


「…そうか」


「傘。返すのは恋が叶ったときか諦める時。願掛けみたいなもんだって。そう言ってたよ」




そうか。だから今か。俺を好きなのもうやめるって言ってたもんな。
全く。人の私物、願掛けに使うなよ。



「白布。お前、いいの?」


「何が」


「Aのこと」



真面目な表情なのかただの無表情なのか、太一は俺を見てそう言う。



「べつに……今は部活に集中したい」


「まあ、部活が一番なのは分かるよ。全国目指してんだし、俺たち。でもさ、自分の気持ちに素直になってもいいんじゃねーの?誰かにとられる前に。ま、ほんとに違うってなら別にいいんだけどさ」



Aが毎日毎日絡んでくるから、いつの間にかそれが当たり前になっていた。それなのに、何日間か全然話しかけてこない日があって。俺の周りはようやく静かになったと思った。

でも何かが足りなかった。いつも「白布!」と、俺を見かけては犬みたいに駆け寄ってくるあいつの笑顔が。

そんな時、また話しかけてくるようになった。それが少しだけ嬉しくて、ニヤけそうになったから目をそらした。そういえばここ最近、Aのことばっか考えて、勉強に集中できなかった。近くに来ると心臓がおかしくなって、無意識に避けてしまう。




分かってる。俺は確実に、Aを好きになっている。でも



「認めたら、負けな気がする…」


「頑固だなあ」


「ありがと太一、また明日」


「おう」



あいつが俺を好きじゃなくなったら、他の奴と付き合うこともあるかもしれないってことか……。

突然の番外編 ご当地ネタ(焼きそば編1)→←30 黙って肉まん2つ頼んで1つくれる奴は良い奴



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作者名:Blue Leaf x他2人 | 作成日時:2017年1月28日 9時

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