第57話 ページ16
――瀬名泉視点――
今日の放課後、レオくんにいつものテラスに
集合すると約束をしたけど、5分経っても10分
経っても姿は出さない、電話にも出ないし。
ほんっとうにアイツ作曲以外なーんもできないんだから
しょーがないから探しに行ったら
アイツがよく居る音楽室からピアノの音が聞こえる…
人の約束もほったらかして呑気にピアノ弾いてるとか
チョ〜うざぁい！文句言おうドア開けたら
あの[氷上の王子様]と会ってるとかどーゆう訳ぇ!?
[乙葉 ユキ]については入学前から話題だったから
何となくの情報は頭に入っていた、
みんなが羨む容姿、そして何もかも兼ね備えてるその技術
俗に言う【才能に恵まれた子】って奴だろうねぇ。
まぁ、俺は実力でねじ伏せるタイプだから
別に関係ないけどぉ。
やっぱり天才者同士で「同族意識」ってヤツ？
そんなのに引き寄せられたんでしょ、2人はピアノの前で
なんか話してる様子だった。
こっちからコンタクトを取ろうとはしてたけど
まさかこんなに早く会えるとは思わなかったよねぇ。
昨年まで【チェス】として活動してたけど、
リーダーが変わる度に【オセロ】や【バックギャモン】
とかころころ名前が変わっていって…
れおくんは【チェス】への思いが
人一倍強くて最後まで渋ってたんだっけ…
っても活動もろくにしてない自然消滅ギリギリって
とこだけどぉ、
俺は今のユニット活動に納得いってなかった。
真面目に活動してんのはせいぜい俺やレオくんのみ…
まぁ、この学校に入って真剣にアイドル目指す事が
馬鹿馬鹿しいって思われるし……
でも、モデル業界にはもう戻れないから
この世界でやっていくしか無かった。
レッスン室を取ったから練習に誘ったって
こぞって用事やら急用やら。見え見えな嘘ついて
結局来るのはいつもれおくんと俺の2人だけ、
あんな奴ら今すぐにでも手を切ってもいいはずなのに
れおくんはしなかった。だって【友達】だからって…。
ほんっと意味わかんない。こちとら仲良しこよしで
グループ組んだ覚えないんだけどぉ。
馬鹿なのかお人好しなのか、、
彼奴らにとってれおくんは【曲】という【武器】が
手に入るただの生産工場だとしか思ってないっての……。
とにかく、今の現状から脱却するために
なにか変革はないかと探していたんだよねぇ。
その時に授業で今年の新入生の入学テストでの映像を見た。
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作者名：くま吉 | 作成日時：2024年2月28日 22時
