記録その卅陸 ページ37
Aさんの話は正直信じられる話ではなかった。
そもそも別の世界が存在することに未だに頭がついていかない、でも…
「信じます。」
『嘘だと思わねえの。』
「Aさんは嘘なんかついてないです。」
本当のことを言っているにおいがするから。
それに、話しているときに沢山のにおいがした。
すごく、楽しかったんだろうな…だからこそ、辛くて悲しかったんだろう。
何だろう…すごく胸が痛い、苦しい。
『お前、何泣いてるの。』
「すみませんッ……」
俺の頭を撫でるこの人の手はすごく温かい。
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「本当に!!すみませんでしたぁぁーー!!」
『いや、落ち着いたならいい。』
「お恥ずかしい所を…!!」
申し訳なさそうな顔をする炭治郎をAはじっと見た。
そして、また頭を撫でる。
『炭治郎。お前、長男だろ。』
「え、え!?何で分かったんですか!?」
『何となくだ。』
「何となく、ですか。(…凄いなこの人。)」
『俺の兄弟にそっくりだ。お前の真っ直ぐな性格。』
そう言われて炭治郎は顔を上げた。
Aの表情は相変わらず変わらないが、空気はどこか柔らかい。
『お前が耀哉の屋敷で妹の事を必死に庇っていたのを視た。』
「え、」
『自分より強者達を前に臆する事無くただ妹を助けたい、そんな真っ直ぐな気持ち。』
________俺は嫌いじゃないよ。
そう言ってAは微笑んだ。
その顔を見た炭治郎は声を出すことが出来ず、息を呑む。
「(なんて綺麗に笑う人なんだろう。)」
ただ、それだけが脳内を占めた。
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Aは少し部屋をあけたのと同時にお茶と菓子を持った童磨が現れる。
「俺のことは聞いたかい?」
「はい、聞きました。……鬼、だったんですよね。」
「そうだよ。人も沢山食べた…俺が憎いかい?」
「いいえ。でも、人を食べたことは許さない。それに今はあなたは人間…もう二度と過ちをおかさないでください!!以上です!!」
「……成程、これはAが気に入るわけだし無惨様は気に入らないわけだ。」
扇で煽る童磨は面白そうに口元を緩めた。
「童磨さんは「あ、童磨でいいよ。」、童磨は無惨の支配に何も感じなかったんですか?」
「何も思わなかったさ。俺、今は違うけど上弦の弐だったから普通に自由だったよ。」
「上弦!?えぇ!?上弦の弐!?」
「おや、しまった。これは言ってはいけない事だった。」
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メリエリ(プロフ) - 凄く面白くてお気に入りです!続きはつくらないのですか? (2021年7月13日 19時) (レス) id: 3b02c3cd6d (このIDを非表示/違反報告)
ry_ily(プロフ) - こんばんは!もう更新はされないのですか??とてもいい作品でもっともっと読みたいです!!更新待ってます! (2020年5月15日 0時) (レス) id: c05f4833c8 (このIDを非表示/違反報告)
RUGI(プロフ) - 伊之助推しさん» ありがとうございます!神作品だなんて本当に嬉しいです!!これからも更新していくのでよろしくお願いします!! (2020年2月24日 23時) (レス) id: 23a9fd6e5d (このIDを非表示/違反報告)
伊之助推し - 神作品すぎる、本当にこれ好きなので続木楽しみにしています。 (2020年2月14日 23時) (レス) id: 5a7580d6d4 (このIDを非表示/違反報告)
RUGI(プロフ) - Ecarlateさん» コメントありがとうございます!記録その廿伍に少しだけ書いてあるのですが夢主をおびき寄せるために無惨から呪いを解かれていたという設定です、すみません文章が不足していました汗 (2020年2月2日 17時) (レス) id: 23a9fd6e5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RUGI | 作成日時:2019年12月27日 21時