記録その卅伍 ページ36
『よう、竈門炭治郎。』
「え、…!?」
気づかなかった。
この人が声をかけるまで気配も、においも感じなかった。
『んで、あの箱の中にいるのが鬼の妹禰豆子か。』
「!!はい。」
何だろう、この人からはすごく色々なにおいがする。でも、一番強いにおいがするのは…
『悲しい、においがする…』
『!!』
悲しみと、自分に対する憎悪だった。
___________
_______________
『成程、お前はそれで鬼殺隊に入ったのか。』
「はい。おれは禰豆子を…妹を、人間に戻してやりたいんです。」
『それで無惨を追ってるわけだ。いいと思うけど、お前あれは相当の化け物だぞ。』
「鬼舞辻無惨を知っているんですか!?」
うおッ、いきなりびっくりするじゃねえか。
知ってるよ、攻撃力の高い化け物。
俺はあいつのせいで今も寝不足だ、許さねえ。
『それはいいとして…お前、ちょっとついてこい。』
「え?」
『しのぶ、明日には返すからこいつを少しかして。』
向こうの部屋で何かをやっていたしのぶにそう声をかければ此方に向かってくる気配を感じた。
「いいですよ。…あまり、彼を振り回さないでくださいね。彼は怪我人ですから。」
『そんなことしねえよ。』
「竈門くん。」
「は、はい!!」
「彼の言うことは全部本当ですよ。だから信じてくださいね…君なら嘘なら嘘だと分かると思いますが。」
「はい!!」
嘘なら嘘だと分かる?
そういえばこいつさっき俺に会ったとき悲しいにおいがするとか言ってたあれか。
『行くぞ。』
「はい!!ってうわあ!!あの、自分で歩けます!!」
『こっちの方が早い。口を閉じろ、舌噛むだろ。』
「!?」
少しスピード上げよう。
あぁ、あいつちゃんと家事やってるかなあ。
---------------
--------------------
着いた頃には夕日があと少しで顔を出すところでだった。
炭治郎はあまりの速さに顔を引き攣らせていた。
静かな山に一軒だけ建つ屋敷に炭治郎はまたもや目をぱちりとする。
Aは扉を開け、中に入るように言う。
『おい、童磨。』
「おかえり。ん?お客さんかな?」
『知ってるだろ。』
「花札の耳飾り…あぁ、無惨様の言っていた童か!!」
無惨、そう言うと警戒し始めた炭治郎にAは腕を引っ張り部屋の襖を開けて座らせる。
『今から話すことは全て事実だ。聞くか?』
Aの真剣な表情に炭治郎は混乱しつつも静かに頷いた。
1241人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メリエリ(プロフ) - 凄く面白くてお気に入りです!続きはつくらないのですか? (2021年7月13日 19時) (レス) id: 3b02c3cd6d (このIDを非表示/違反報告)
ry_ily(プロフ) - こんばんは!もう更新はされないのですか??とてもいい作品でもっともっと読みたいです!!更新待ってます! (2020年5月15日 0時) (レス) id: c05f4833c8 (このIDを非表示/違反報告)
RUGI(プロフ) - 伊之助推しさん» ありがとうございます!神作品だなんて本当に嬉しいです!!これからも更新していくのでよろしくお願いします!! (2020年2月24日 23時) (レス) id: 23a9fd6e5d (このIDを非表示/違反報告)
伊之助推し - 神作品すぎる、本当にこれ好きなので続木楽しみにしています。 (2020年2月14日 23時) (レス) id: 5a7580d6d4 (このIDを非表示/違反報告)
RUGI(プロフ) - Ecarlateさん» コメントありがとうございます!記録その廿伍に少しだけ書いてあるのですが夢主をおびき寄せるために無惨から呪いを解かれていたという設定です、すみません文章が不足していました汗 (2020年2月2日 17時) (レス) id: 23a9fd6e5d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:RUGI | 作成日時:2019年12月27日 21時