【短編集】やる気は無いけど欲はある【そらる】

いっしょに ページ4

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「っはぁ、疲れた」



ぐーっと背中を伸ばして机の上の時計を見ると、もう10時を過ぎていて



どこでも寝てしまうそらるのことだからもう多分寝てしまっているかゲームのどちらか



「…帰るか」



なんだか無性に会いたくなって、少し寂しくなりながら会社を出た



「…あ、A」



でも出た所のすぐそばのベンチに腰を下ろしていたのは紛れもなく



「そら、る？」



「暇だったから迎えに来たんだけど…遅かったね、お疲れ様」



そう言って少し笑ってぽんぽんと頭を撫でるそらる



あぁ、落ち着くなぁ



今日は一緒に居た…



「…ありがとう」



「おっ、今日は素直でいつもよりかわいいね」



…なんでこうも一言余計なのか、帰ろっと



「えっ、手は？」



「は？」



半ば呆れながら歩くスピードを上げると、そらるから声がかかる



「繋ごうよ、ね？」



そう言ってふっ、と表情を緩めて綺麗に笑うそらる



「…まぁ、うん」



なんて言って手を伸ばせば、白くて長い綺麗な指が絡んで



「ふふ、かわいいすき」



「…そういうのいらないから」



もういい年なのにどきどきして



暗い所に見えるそらるの横顔がいつもの表情よりやっぱり格好良くて



「(好きだなぁ)」



なんて、言ったら笑われるから



今日のところは黙っておこう



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