【短編集】やる気は無いけど欲はある【そらる】

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「い、いやそらるさんこれはあのその」



「人の？彼女と休日にお出かけかぁ…いいねぇ坂田くん」



「ひっ、」



やばい、これはまずい



あれはそらるが1度だけゲームの課金データまで消えた時にしてた目と全く同じだ



一言で言うと



「…怖い」



怯えた目で後ずさる坂田さんが何だか気の毒だ



「ご、ごめんなさい坂田さん…帰って大丈夫です…本当にすみませんなんか…」




「ええんよ…じゃあ今日はまふと一緒に帰るな…」



そう言って力なく手を振る坂田さん、なんか本当に申し訳ない



「…なに、してたの」



坂田さんの姿が見えなくなって、少しいつもより低めの声でそう呟くそらる



「買い物に行って、て」



「俺と別な日じゃだめだったの」



「あー、う…」



「…別に、いいけど」



そう言ってとぼとぼと家まで会話もなく歩いてソファーに鞄を放り投げる



「怒ってる、よね」



「…別に、そんなことない」



いや、じゃあなんでそんなにほっぺ膨らんでるんでしょうね、かわいいなおい



「いつも家にいるのにわざわざ俺がいない日に出かけて、少し寄り道してたら坂田と歩いてるし」



そう言ってふっ、と顔を動かすそらる



「そういうの、嫌だから」



その顔は恥ずかしさからなのか、嫉妬なのか分からないけど真っ赤で



「ごめん、もうしないから」



「…ん」



それだけ呟いて私の体をいつもより強く抱きしめたそらるがかわいくって



「好きだよ」



「っん！？」



「ふふ、耳真っ赤でかわいいね」



低音の声で呟かれる声がぞくりとして



「そういえば、なに買ってたの」



「え、あ…っと」



今、今なのか？



はやくはやく、と目をきらきらとさせてるそらるをまぁ待たせるわけにもいかないので紙袋を手繰り寄せる



「…これ、あげるね」



「……………え」



長方形の深い青をした箱を開けて目を見開くそらる



「なにこれ…かっこいい」



そう言った目の先にはネックレスがあって



「坂田さんとまふまふさんに偶然会ってアドバイス貰いながら一緒に選んだの」



「凄い、うれし、い」



「いつもありがとう、って事で私からです」



そう言うとなんだか照れてきて



「いつもありがとう、これからもよろしくね」



少し笑ってそう言えばそらるも表情を崩して私の手を握った



「俺こそ、よろしくね」



こんな日もたまにならいいかなぁ、なんて



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