私の得意分野 ページ3
ヤクザ、チンピラ、ゴロツキばかりが蔓延る夜の街……“ヨコハマ”。
一歩裏へ足を踏み入れれば、“潜在犯”達の溜まり場だ。
(はっ。何てな。けど、その潜在犯達が“この世界”じゃあ当たり前の様に生活してるわけだ。ある意味、住みやすい世界だねぇ)
着慣れたスーツ姿はお休みして、茶色のロングコートを身に纏う。
辺りを見回せば、建物も、食べ物も、景色も“本物”。
紛い物だらけの世界で生まれ育った身からすれば、本物を知るのには良い世界だ。悪くない。
(さて、“依頼”で指定された場所は……)
携帯を確認しながら路地裏へ入ると、バットやら鉄パイプを持った連中に囲まれる。
しかし、連中の前で立っている男は“マイク”だ。
……言っておくが、ギャグでは無い。
(まあ、こんなこったろうとは思ったけど)
「ははっ!やっぱ女ってのは馬鹿だな!電話で依頼があるからって呼んだらのこのこ来やがった!テメェだろ。最近うちのシマをこそこそと嗅ぎ回ってる女探偵ってのは。何が目的か知らねぇが、大人しくしてもらうぜ?そんで俺達のペットにしてやるよ!ヒャハハハハ!」
「ふむ。私は何処から指摘すれば良いのやら。女尊男卑のこの社会だから女性に不満や不信感を抱くのは分かるが、女である私を馬鹿呼ばわりする割には大分警戒しているみたいだね?女性一人相手にこんな大人数で来て……。それと、“のこのこ来やがった”と言う台詞はそのまま返そう。生憎、特別な理由が無い限り、先に依頼人の顔が見たいから依頼人には自ら私の事務所に来て貰っているんだ。普段は。でも私は、私が出向く理由を電話で貴方に聞かなかった。何故か分かるかい?」
「あ?」
「貴方達半グレがそろそろ私を狙いに来る頃だと分かっていたからだ。私が貴方達の動きを探っているタイミングで、突然依頼があるから指定の場所に来いと言う電話。どう考えても怪しいだろう。ピンと来たよ。それと、ペットを飼い慣らすのは恐らく……私の方が得意だ」
私が笑みを浮かべた瞬間、火貂組の若頭“碧棺左馬刻”と、元海軍の“毒島メイソン理鶯”が男達の背後から現れる。
「話は聞かせてもらったぞ。オイ、誰のシマだって?ここは、俺達火貂組のシマだ。ヤクをばら撒いてる半グレ連中がいるって聞いてAに探らせてみりゃあ、随分と調子こいてんじゃねぇか。ああ?」
「しかも、Aが言っていたように女性一人相手に随分な対応だな。どうやら、正すのは言動だけでないようだ」
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イマツギ(プロフ) - 続きが楽しみです。お時間があれば更新頑張ってください! (2022年3月12日 12時) (レス) @page34 id: f5ff06f155 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - 面白い!更新頑張って下さい! (2020年4月10日 13時) (レス) id: ceacd95bed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遙 | 作成日時:2016年2月6日 20時