Story 80 ページ35
＊
アン「こんばんは、Ms.ディオリス」
『どうも。』
アン「さぁ、お座んなさい」
アンブリッジはレースの掛かった小さなテーブルを指さした。
そのテーブルの上には私のためと思われる羊皮紙が一枚用意されていた。
アン「ほんと、嫌な目。」
『…は？』
アンブリッジは私をじっと見つめてニターッと笑った。
アン「あの女に似て男を食い散らかすいやらしい目をしてるわ。」
『…そりゃどうも』
私が怒鳴り出すのを待っていたのか、思っていた通りの反応を示さない私にイラついた様子だった。
アン「私の羽根ペンで”私は嘘をついてはいけない”って書きなさい。」
異様に鋭いペン先の羽根ペンを手渡される。
嘘、ね。
『何回』
アン「ああ、その言葉が滲み込むまでよ」
滲み込む
アンブリッジは私にそう言うと自分の机に戻り、ティーカップを口元に運んだ。
インクがない。
私がそう言う前にニコリと笑って
アン「インクは要らないの。」
インクが要らない羽根ペン
何となく分かってしまうのは、お父様やお母様の娘だからだろうか。
何も書かれていない羊皮紙に、”私は嘘をついてはいけない”とペンの先をつけて書く。
『いッ…』
赤く光るインキで書かれたような文字が、てらてらと羊皮紙に現れると同時に、右手の手の甲に痛みが走る。
そしてメスで切り裂かれたように浮き出てくる同じ文字。
ずっと私にこうしたかったんだろうなこの女は。
アンブリッジを睨むと、ニタニタと笑っていた。
アン「何か？」
『…なんでも。』
アンブリッジは私が弱るのを待ってる。
だからこそ、いつになったらやめていいのかなんて聞かなかった。
何度も何度も繰り返し書いて、痛みに耐えた。
何時間経っただろう。
アン「こっちへいらっしゃい」
アンブリッジが私の手を止め、呼んだ。
私の手を取り、赤く線の入った手の甲を見てにっこりした。
アン「チッチッ。まだあまり刻まれていないようね？また明日の夜、もう一度やるほかないわね。帰ってよろしい。」
『…お父様にバレたら、どうなるかしらね、アンブリッジ』
私はそう言い、部屋を飛び出した。
息を飲む声が聞こえたが、知らない。
早くあいつから離れたかった。
『気持ち悪い…痛いし…』
私は手の甲をローブで隠し、寮に戻った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 454人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ラムネ - 更新待ってます❗ (2022年1月3日 13時) (
レス) @page45 id: cd7d6e6efa (このIDを非表示/違反報告)
みっきー(プロフ) - 主人公の強い女の子感最高すぎます！ (2021年12月27日 15時) (レス) @page26 id: 444cc76f70 (このIDを非表示/違反報告)
わかな - 毎日ドラコの小説漁ってますけど、新しく出て見てみたら最高じゃないですか！！一気に読んでしまいました、きゅんです！ (2021年12月25日 3時) (レス) @page24 id: f93237fe28 (このIDを非表示/違反報告)
Notte(プロフ) - すごい好きです。語彙力無くなってしまうほどに好きです。 (2021年12月23日 23時) (レス) id: fb4cdb52a4 (このIDを非表示/違反報告)
ラムネ - ドラコとマユ可愛すぎません???( ≧∀≦)ノ (2021年12月23日 18時) (レス) @page20 id: cd7d6e6efa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かふぇらて | 作成日時：2021年12月19日 9時
