喜んで-Twenty-second-《あんスタ》

story136 ページ37

***





「…」


「…」




休憩が終わり、またいつものように
車を走らせる凛月。




「…」




ていうか、また泣いちゃったよ…


反省しなきゃね。




「そろそろ着くよ」


「うん」




それにもうすぐ凛月と離れる。


もっと一緒に居られたら文句言わないのに。




「寂しい…」


「俺もだよ」




凛月は寂しくないくせにっ


認めたくないけど美人な奥さんが居て
子供達が居て…




「Aの事心配過ぎてどうにかなりそう」


「…へ？」


「下手したらまた他の男に騙されたり、俺に内緒で危ない事するんじゃないかって」


「しないしっ」


「分かんないでしょ？だから、本当は俺の隣に置いといて監視したいくらい」


「…ちょっと、アリかも…」


「俺が逮捕されるー」


「私が同意すれば良い」


「そんなぬいぐるみみたいな事させるわけないでしょ」


「…」


「ね？」


「私は…ぬいぐるみだよ」


「はい？」


「凛月だけの、壊れたぬいぐるみなの」


「ふふ、壊れてんの？」


「そう。だから直してくれないと」


「どうやって？」


「愛情とかですかね、ベタに」


「ふーん…」


「簡単でしょ？…それしか求めて無いから」


「そうだねぇ」


「うん」




自分でもちょっと呆れてる。


こういう風にしか凛月の気を引けない。
おかしいって分かってる。




「さ、着くよ」


「うん…」




凛月にも、寂しいって思って貰いたいな。
私じゃなきゃって…





***

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