二百五十二話 ウィル・オブ・タイクーン ページ6
清潔感のある廊下の柔らかな照明の中、組合のある少女は、一つの扉の前でそわそわと立っていた。
「(息を吸って喋る……息を吸って喋る……リラックス、大丈夫……)」
「何かお困りですか?」
自分の心に言い聞かせている最中に、突然後ろからかけられた声に、少女はビクッと肩を揺らす。
慌てて振り返るその顔はトマトのように赤く、外国人らしいボディーランゲージでひたすら何かを伝えようとしていた。
「………!………!」
「?」
しかし上手く伝わらなかったらしい。
係員らしきその男は、首を傾げながらも何もないことを確認して去っていった。
「(びっくりした……。知らない人に話しかけられちゃった……)」
慌てて動いたためか、少女はゼーハーと息を荒くしながら、持ってきた書類を目の前で抱きしめる。
そして覚悟を決めたようにノックする右拳を握りしめると、ゴクリと喉を鳴らした。
しかし、少女がノックをするよりも早く、中から低い声が話しかけてくる。
「いい加減早く入りたまえ」
「し、失礼……しまっすっ……」
いつから気づかれていたのか。
部屋主の一言に、少女は緊張した声音で断りを入れ部屋のとびらを開いた。
部屋主であるフィッツジェラルドは、大層不満げな顔をしながら、手元の小説並みに分厚い書類をめくる。
そして、柔らかなクラシックが流れる中、大きな音を立てながら机に足を振り下ろした。
その振動で、机に飾りつけられていた花や果物が揺れる。
「また作戦書かね、オルコット君」
「あの……えと……、はい」
《【組合】
_____能力名【若草物語】》
呆れたようなフィッツジェラルドの眼差しに、オルコットは恥ずかしそうに顔を赤らめながらそう答えた。
「
昨日届いた分がまだこんなに残っているぞ?」
フィッツジェラルドはそう言いながら、昨日の書類をパラパラとめくってみせる。
それを見たオルコットは、さらに顔を赤くし気まずそうに返した。
「え、ええと……、す、済みません……。で…出直します」
しかし、フィッツジェラルドはその言葉に返さず、ガタッとソファを立つ。
「あっ」
ヒョイッとオルコットの持つ書類…基作戦書を受け取ると、フィッツジェラルドはどこかへ歩き出した。
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??(???)??(プロフ) - 神作品すぎてここまで読んでしまった……夢主ちゃんどうなっちゃうの!?長生きして欲しい……これからも作者様のペースでよろしくお願いします! (1月9日 21時) (レス) @page23 id: 71a0ede70a (このIDを非表示/違反報告)
花見月 - いつも楽しく読ませてもらっています。アンケートですが、1でお願い致します。 (2021年9月24日 0時) (レス) @page5 id: 216d69af47 (このIDを非表示/違反報告)
びっくりさん(プロフ) - 1がいいです。 (2021年9月22日 21時) (レス) @page5 id: d067fbdc83 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 1が良いです。 (2021年9月22日 18時) (レス) @page5 id: 3b590f766f (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 個人的には1が良いです。 (2021年9月22日 1時) (レス) @page5 id: 91a3e851e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ark | 作成日時:2021年9月12日 7時