二百五十三話 ウィル・オブ・タイクーン ページ7
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「え……?
き、危険です。拠点の客船が落ちた今、フィッツジェラルド様には、屋内でおとなしくして頂かないと…」
フィッツジェラルドの突然の言葉に、すぐに止めようとするオルコット。
フィッツジェラルドはその言葉にぴたりと足を止めると、不敵に笑い振り返りながらオルコットに尋ねた。
「俺がいる場所が組合の拠点だ。違うか?」
一方その頃、太宰はとある屋外終車場のフェンスに身を預け、ある人物の到着を待っていた。
少しすると車のエンジン音が遠耳に聞こえてきて、太宰の前に黒い高級そうな車が止まる。
スマしたような声音で、車からある人物が降りてきた。
「何年ぶりですかねぇ、太宰君。連絡を貰った時は驚きましたよ」
《内務省 異能特務課 参事官補佐 坂口安吾
_____能力名【堕落論】》
その後ろには、二人の部下らしき人物が控えている。
対して太宰は、底抜けに明るい口調で両腕を広げて安吾に声をかけた。
「やぁ安吾!元気そうじゃあないか!」
スタスタと近づくと、肩を軽く叩くようにして後ろに回る。
そしてさっきの接触で摺った銃の銃口を、安吾の後頭部につきつけた。
安吾はそれでもなお冷静な表情を貫き、太宰はマフィア時代のような表情を浮かべる。
「善く来たねえ安吾。如何して思ったんだい?
「マフィアを抜けた貴方の経歴を洗浄したのは僕ですよ。借りがあるのは貴方の方では?」
二人とも一切表情を変えず言い合う。
いつの間にか安吾のそばに控えていた二人はそれぞれ銃口と剣先を太宰に向けていた。
「………」
そのまま少しの間沈黙が続く。
そして太宰は、先に銃口を安吾の頭から離した。
「判ったよ。どうせこうなることを予期して弾を込めてないんだろう?」
「ご理解が早くて助かります」
ため息をつく太宰に、安吾はにっこりと微笑んでそう返す。
安吾が差し出した手に、太宰は抵抗することなく銃を返した。
「で?旧交を温めるのが目的でないなら、ご用件は?」
安吾の問いに応えることなく、太宰は安吾の乗ってきた車に近寄る。
そして車のルーフをぽんぽん叩きながら話を逸らした。
「いやぁ、流石に宮仕えは善い車だねえ」
「指紋がつくのでやめてください」
太宰は逸らした話の延長にも、本題とも取れる答えを返した。
「ドライブしない?」
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??(???)??(プロフ) - 神作品すぎてここまで読んでしまった……夢主ちゃんどうなっちゃうの!?長生きして欲しい……これからも作者様のペースでよろしくお願いします! (1月9日 21時) (レス) @page23 id: 71a0ede70a (このIDを非表示/違反報告)
花見月 - いつも楽しく読ませてもらっています。アンケートですが、1でお願い致します。 (2021年9月24日 0時) (レス) @page5 id: 216d69af47 (このIDを非表示/違反報告)
びっくりさん(プロフ) - 1がいいです。 (2021年9月22日 21時) (レス) @page5 id: d067fbdc83 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 1が良いです。 (2021年9月22日 18時) (レス) @page5 id: 3b590f766f (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 個人的には1が良いです。 (2021年9月22日 1時) (レス) @page5 id: 91a3e851e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ark | 作成日時:2021年9月12日 7時