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第壱話 ページ2

「…ぐちゃぐちゃな顔。」

銀色の月が淡く輝く晩

「嫌だッ…!
頼む、来ないでくれ…!」

私は月に淡く照らされた
人の気配のない海岸へと来ていた。

「…ねぇ
貴方、何故
怯えているんですか?」

私が今いる場所は
昼間でも夜間でも変わらずに
普段は人は通らない場所だが

今は違う。

「ヒッ…!」

私の目の前には
腰を抜かした1人の男がいる。

「そんなに
私が怖いですか?」

私は腰を抜かしてしまい
手を使って
私から這って逃げようとする
彼に静かにそう問いかけた。

「…く、来るなッ…!」

彼が後ずさる度に
私はゆっくりと足を進めながら
彼が答えてくれるのを待ったが

彼は私の顔を見て怯えながら
後ずさるばかりで答えてくれなかった。

「私は解らないから。

貴方達がどうして
私の姿を見ただけで
怯えて逃げてしまうのか。」

砂を蹴りながら歩いて
私は彼と一定の距離を保ちながら言った。

「だから聞いているのに
貴方達は誰1人として答えないで
そうやって怯えるだけなんです。」


私は眈々とそう告げると
それまで歩んでいたスピードとは桁が違う
人間離れしたスピードで彼の背後へと回り

「人間が何故
私の姿を見ただけで怯え、逃げるのか
…私が何かしたわけでもないのに何故
瞳に何かを浮かべ逃げるのか
私はただ、それを知りたかっただけなのに」

彼の首に手を回し彼の動きを封じ
彼の耳に私自身の声が直接響くように
私は彼の耳元でゆっくりとそう喋った。

「嫌だ…
まだ死にたくないッ!」

だが、彼は私が喋る前と変わることなく
ただ私を見て怯え続けているだけで
私の言葉は彼には届いていないようだった。

「…もし、他の人間と違って
私を見ても怯えないでくれたなら
………… 私は貴方のことを…」

私は未だ腕の中で暴れ続ける彼を見ながら
最後にそう言葉を続けようとしたが
腕の中で暴れ続ける彼を見て小さく首を振り
その続きの言葉を紡ぐことを自ら辞めた。


「でもそれはもしもの話
貴方は私の微な期待を裏切って
他の人間と変わらなかったから。

だから私も変わらない。」

私は変わらず
腕の中で暴れ続ける彼にそう言うと

バギィ…

私が人間とは違う
喰種という生き物である証の赫子を出して
腕の中の彼を喰らおうとした、その瞬間。

「その人を離せ!」

赫子を半分ほど出していた私に向かって
小さな尖った石が1つ、飛んできた。

「…」

私が目を動かし石が飛んで来た方向を見ると
其処には同級生の橘 真琴がいたのだった

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Leia - 此方のアカウントにログインできなくなってしまいましたので新しいアカウントで続きを書いていますのでよろしかったら覗きに来てください。新アカウント→五瀬 市世という名前で書いています。 (2014年10月6日 23時) (レス) id: 29f3bdcae5 (このIDを非表示/違反報告)
Leia(プロフ) - あすぱらさん» コメントありがとうございます*\(・x・)/*かなり遅めのペースですが着実に更新して行きますのでよろしくお願いします゚+.(・∀・).+゚. (2014年9月14日 5時) (レス) id: 69622970c6 (このIDを非表示/違反報告)
あすぱら(プロフ) - どちらの作品も凄く好きなので楽しみにしてます!更新頑張ってください!(° ▽° *) (2014年9月4日 21時) (レス) id: 30be045bc5 (このIDを非表示/違反報告)
Leia(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます(*´ェ`*)ちまちまと更新して行きますのでお時間がある時にでも覗きに来てくださると嬉しいです (2014年9月3日 1時) (レス) id: 69622970c6 (このIDを非表示/違反報告)
メロンパン - 続きがとっても気になります! 更新頑張ってください! (2014年9月1日 19時) (レス) id: 233ec6321a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Leia | 作成日時:2014年8月13日 13時

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