悪ノ召使 -1- ページ26
「おかあさ〜ん、えほん読んで!!」
「はいはい、本当に恋香はこの絵本が大好きね」
「おうじょさまたち、かわいそうだよね・・・助けてあげたいなあ」
「そうね・・・さ、読むわよ?
『昔々ある所に、美しい黄色い王女様と、その召使がいました。』」――
「あら、おやつの時間だわ!レンー、今日のおやつは?」
「今日はリンの好きなブリオッシュだよ」
「本当!?」
王女が無邪気に笑ったその時、扉がノックされた。
王女と似通った黄色い髪の召使いは、王女の代わりに「入れ」と合図を出す。
「失礼します」
「――では王女様、ブリオッシュを準備いたします」
「…ありがとう。で、貴女は?何の用事かしら?」
「先月の件なのですが――」
王女はその話をそれとなく流し、「何とかしなさい」と面倒臭そうに耳打ちした。
そしてその女中が去った途端、召使いは態度をころりと変えた。
「はい、リン。召し上がれ」
「ふふ、ありがとうレン!大好きよ!」
そんな風に王女が微笑む相手は、王女の傍に毎日仕える召使いであり、幼い頃に違う運命を辿ることとなった双子の弟でもあった。
民衆や正式な場所では堅苦しい言葉を遣う彼だったが、王女の前では幼い頃と同じ口調で喋る、という命令だった。
「リン、口元が汚れてるよ」
くすくすと微笑んで、その口元をナプキンで拭う。
そんな姿は、寧ろ兄のようでさえあった。
しかし王女のそんな幸せな毎日は、長くは続かなかった。
『王女の政治に反対する!』
『全国民に幸せを!』
『王女の首を切り落とせ!!』
国民の怒りが溜まりに溜まったある日、国がひとつにまとまった。
しかしそれは吉兆ではなく、今まで悪逆非道な王国をつくり上げてきた王女への国民の反抗だった。
王女は部屋で、かたかたと震えていた。
「そんな…私……」
「リン」
多くの国民をその手で裁いてきたというのに、いざ自分が裁かれるというとき、彼女は酷く青白い顔をしていた。
そんな彼女を見るのが辛いと思った召使いは、そっと王女に声をかけた。
「リン、この服を着て、城下町に逃げ込むんだ」
「え…?だって、すぐつかまってしまうわ、きっと…!」
「大丈夫。その代わり――僕に、そのドレスを貸してくれないかな?」
「えっ…?」
その時王女には、召使いが何をしようとしているのかがはっきりと分かった。
王女はぽろぽろと涙を零し、首を振った。
つづく
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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あか(プロフ) - 阿修羅 時雨 恋輝叶さん>まっちゃアイスさん>こちらの小説はもう完結しています!なので、続編の方に改めてコメントお願いいたします;; (2012年7月23日 19時) (レス) id: 537650310a (このIDを非表示/違反報告)
あか(プロフ) - 雷世>まじかよ・・・1位とか私100年かかっても無理だわww バーチャル少女さん>神じゃないですよ紙ですよww 続編、今のところ作る予定ですー! (2012年6月30日 20時) (レス) id: 537650310a (このIDを非表示/違反報告)
雷世(プロフ) - 学力テストは10位以上でおk何だけど期末は1位じゃないとというね・・・(´・ω・`)つか今度から全教科85点以上取らないと買ってもらえないという仕打ち・・・ (2012年6月29日 21時) (レス) id: b8f8948618 (このIDを非表示/違反報告)
あか(プロフ) - 雷世>あれ、10位はだめなんだっけ!?てかうちの学校、学年順位とかまだ出てないんだが・・・成績出たら出るかなぁ (2012年6月29日 20時) (レス) id: 537650310a (このIDを非表示/違反報告)
雷世(プロフ) - どっちもあったよーな・・・← あ、学年順位10位でゲーム買い損ねた\(^o^)/ (2012年6月29日 19時) (レス) id: b8f8948618 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あか | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=akanekazemaru
作成日時:2012年2月20日 20時