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印を結ばれて、
体の中がどんどんおかしくなっていくのを
他人事のように感じていた
このまま、爆破して
みんなと死ぬのもいいかもしれない
嫌いだった男の子も、
傘を渡した少年も
女も、みんな消えてくれる
それでも、
わたしの中でまた浮かぶ
あなたの笑顔
殺せない、
わたしの木の葉
「…………か、……しく…ん」
「A…………A…」
彼は体が潰れるんじゃないかってくらいに
ぎゅうぎゅうとわたしを抱きしめてくる
痛い、痛い
左腕がどうしようもなく痛い
言いたいことはたくさんあった
あの時、あんな無茶を言ってごめんね
お弁当形崩れちゃってたよね
雨の中、傘に入れてくれてありがとう
いーよ、風邪ひいて修行出来なくなったらこまるでしょ
そう言ったあなたの肩が濡れていたのを見て、
わたしはほんのすこし、笑ってしまった
それでも、
あなたに言うべき言葉は
「………ころ、して…」
大好きなあなたに、
木の葉を守らせてあげたい
「……死なせない、死なせないよ」
そう小さく呟いた彼は
どうしようもなく悲しそうで、
くるしそうだった
その時私は思ったのだ
すこし、ほんのすこしだけでいいから
一緒にいたかったな……
って
「術を強制的に封印させる、上書きの封印術がある…」
小さな、霞んだ声が
そう言った
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作成日時:2018年3月18日 20時