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「ッ…」
腹が立った。
私は人目があるにもかかわらずそんな下卑た会話をしている人達に一言言ってやろうと、足を動かそうとした。
しかし、その足は止まった。
隣に居た同僚さんが私の腕を掴んだからだ。
首を振っていた。
行くなって言いたいんだろう。
どうしてっと叫ぼうとした。
けどその時、同僚さんの口が開いた。
「…私ここに居る時あの人達から聞いちゃったの。
柚音さんはね、子どもが出来にくい体質だったそうよ。
それで夫婦内の仲は険悪だったし、ご家族間も悪かった。
でも、ようやく子どもが宿ったんだって。
ただ険悪な仲だったし、十年以上も出来なかったから夫の方、信じられなくなっちゃったらしくって。
仕事でもやらかしてた時だったらしくいろいろと精神的に耐えられなくなってそのまま亡くなっちゃって…。
柚音さんのご実家の方は縁が切れてるらしく、
仕方なく姑さんたちが面倒を見てたらしいんだけど扱いは酷かったの。
馬鹿にしたり、罵倒したり、お金をとったり、騙したり…
きっと子どもの方も勿論…」
酷い扱いを受けているんだろう、と口を動かしていた。
私は頭が真っ白になった。
そんなことするの2次元の世界だけだと思ってた。
「ッ…」
口の中に金属の味が広がる。
同僚さんの私の腕を掴む力は話が進む度に強くなり、
元々小声だった声も更に小さくなって震えも増していった。
「今回葬儀に来たのもお金目当てだって言ってたわ。
こんなことになるなら私…
もっとッ梅原さんとお話しとくんだった」
私たちがそうやって話している合間も、
あの人たちは笑いながら何かを言っていた。
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作者名:(▽)chocolate_tea | 作成日時:2023年9月2日 18時