検索窓
今日:12 hit、昨日:15 hit、合計:152,838 hit

episode2 ページ3

.




1人で黙々と緑茶を作る(緑茶って“作る”と言うのか?“いれる”の方が適切か…?)。


かなりどうでもいいことを考えながら、戸棚からお茶請けも取り出す。かなり集中しているようだし、甘味の方がいいだろう。それに加えて手が汚れないもの。

適当なお茶請けを選択してお盆に載せる。




この厨房には私の他に数人の女性がいるが、彼女らは遠巻きに私を眺めるだけだ。ついでに言うと何なら“コソコソ”と喋っている。




私は先程“人畜無害であること”を信条に掲げていると言ったが、それは敵を一切作らないというわけではない。

敵を作りたくないのは山々だが、そんなこと不可能だ。特にこういう狭い世界では。


私は直哉様の数少ない側仕えの中で唯一の女である。側仕えというのは他の使用人よりも、主君との距離が近い。その上、側仕えの中から“嫁候補”を選ぶことは珍しくない。正妻は無理でも、側室あたりなら全然狙える立場である。



要は、私が直哉様の側室の座を狙っているのではないか、と彼女たちは度々噂をするのである。というか、その座を狙っているのは彼女たちなのだ。だが、彼女たちは早々に直哉様に対して“三歩後ろを歩かなかった組”なので、確実に側室にはなれないだろう。

言ってしまえば、女の醜い嫉妬である。

生憎と私には女に構ってられる余裕はない。ただでさえ女が生きにくい狭い世界なのだ。周囲の女なんかに気を取られてはいられない。利用価値が下がれば下がるほど、“ただの道具”に成り下がる。媚びを売るのも、女よりも男に売った方が断然利益がある。




まあだから、私が尻尾をふるのはせいぜい直哉様か彼に近い位の男性ぐらいだ。それがまあ、女の気に障るんだろうけど、そんなのどうでもいいし。




と言っても、直哉様の“嫁候補”はタヒんでも嫌なのでそれは全力で拒否するが。

主君としては私的には何ら問題のない直哉様だが、仮に夫として見るなら絶対に嫌である。



それはたとえ彼が次期当主だとしても同じことだ。




.

episode3→←episode1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (568 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1689人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あい - めちゃめちゃ読んでて楽しかったです!!応援してます! (11月16日 19時) (レス) @page15 id: a6639cd8da (このIDを非表示/違反報告)
jやよ - これからの展開に想像しながら、更新待ってます! (2023年1月3日 10時) (レス) id: 7c8c23da7c (このIDを非表示/違反報告)
名無しの中学生 - 最初から読みました続き楽しみに待っています! (2022年3月7日 18時) (レス) id: 2f57e3c309 (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - 初めから読みました!!めっちゃ続きが気になります!!更新頑張ってください! (2021年5月24日 15時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)
かめきち - 神ですか?一回読んだだけで大好きです!応援してます (2021年5月6日 22時) (レス) id: d0a08c8863 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:皐月 | 作成日時:2021年2月27日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。