episode2 ページ3
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1人で黙々と緑茶を作る(緑茶って“作る”と言うのか?“いれる”の方が適切か…?)。
かなりどうでもいいことを考えながら、戸棚からお茶請けも取り出す。かなり集中しているようだし、甘味の方がいいだろう。それに加えて手が汚れないもの。
適当なお茶請けを選択してお盆に載せる。
この厨房には私の他に数人の女性がいるが、彼女らは遠巻きに私を眺めるだけだ。ついでに言うと何なら“コソコソ”と喋っている。
私は先程“人畜無害であること”を信条に掲げていると言ったが、それは敵を一切作らないというわけではない。
敵を作りたくないのは山々だが、そんなこと不可能だ。特にこういう狭い世界では。
私は直哉様の数少ない側仕えの中で唯一の女である。側仕えというのは他の使用人よりも、主君との距離が近い。その上、側仕えの中から“嫁候補”を選ぶことは珍しくない。正妻は無理でも、側室あたりなら全然狙える立場である。
要は、私が直哉様の側室の座を狙っているのではないか、と彼女たちは度々噂をするのである。というか、その座を狙っているのは彼女たちなのだ。だが、彼女たちは早々に直哉様に対して“三歩後ろを歩かなかった組”なので、確実に側室にはなれないだろう。
言ってしまえば、女の醜い嫉妬である。
生憎と私には女に構ってられる余裕はない。ただでさえ女が生きにくい狭い世界なのだ。周囲の女なんかに気を取られてはいられない。利用価値が下がれば下がるほど、“ただの道具”に成り下がる。媚びを売るのも、女よりも男に売った方が断然利益がある。
まあだから、私が尻尾をふるのはせいぜい直哉様か彼に近い位の男性ぐらいだ。それがまあ、女の気に障るんだろうけど、そんなのどうでもいいし。
と言っても、直哉様の“嫁候補”はタヒんでも嫌なのでそれは全力で拒否するが。
主君としては私的には何ら問題のない直哉様だが、仮に夫として見るなら絶対に嫌である。
それはたとえ彼が次期当主だとしても同じことだ。
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あい - めちゃめちゃ読んでて楽しかったです!!応援してます! (11月16日 19時) (レス) @page15 id: a6639cd8da (このIDを非表示/違反報告)
jやよ - これからの展開に想像しながら、更新待ってます! (2023年1月3日 10時) (レス) id: 7c8c23da7c (このIDを非表示/違反報告)
名無しの中学生 - 最初から読みました続き楽しみに待っています! (2022年3月7日 18時) (レス) id: 2f57e3c309 (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - 初めから読みました!!めっちゃ続きが気になります!!更新頑張ってください! (2021年5月24日 15時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)
かめきち - 神ですか?一回読んだだけで大好きです!応援してます (2021年5月6日 22時) (レス) id: d0a08c8863 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皐月 | 作成日時:2021年2月27日 19時