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episode1 ページ2

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私の掲げる信条は至ってシンプル。



“人畜無害であること” だ。



敵を作らず、至って平和に。
たとえ自分の心を無視しても相手に合わせる。それが、自分の身を守るために1番有効な手段だった。




まあだから、自分が仕える相手がどんなにぶっ飛んだ思考の持ち主でも、その人の敵にさえならなければ問題ない。相手の機嫌を損ねないように、顔色をうかがうことは得意だ。




「柚、お茶持ってきて」
「かしこまりました直哉様。お茶請けもお持ち致しましょうか?」
「ほんなら頼むわ」


せっかくの休日も書斎に閉じこもり永遠と文献とにらめっこしてる我が主は、ふと顔を上げて私に命じた。

そうしてまた視線を本に戻す。

窓から木漏れ日が入っており、彼の色素の薄い髪を照らしている。その姿は絵画のように美しかった。


(顔だけはホントいいなこの人…)


そう心で思いながら私は一礼して書斎を出た。





私 矢羽柚は禪院家に仕える使用人の1人である。もっと言えば、禪院家当主 禪院直毘人様の息子である禪院直哉様の側仕えだ。


禪院直哉様といえば、極端な男尊女卑の思考ということで有名だろう。

『三歩後ろを歩かへん女は背中刺されてタヒんだらええ』

これを素でいく人である。純粋に怖すぎる。


だが、まあ彼に仕えることはそこまで苦ではない。彼は男尊女卑の思考ではあるが、それは分をわきまえない女に矢先が向かうだけ。

所謂“三歩後ろを歩かへん女”は彼の攻撃対象に入るが、“三歩後ろを歩く女”に対して彼は特に何も言わない。

攻撃対象と言っても武力でねじ伏せることはしないしね。政治的制裁がたまにあるけど(基本的には言葉で殴ってる)。




だからまあ、“三歩後ろを歩く女”である私は特に直哉様の機嫌を損ねさせることなく、いつの間にか“側仕え”という大層な位を貰ってしまったのだ。






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あい - めちゃめちゃ読んでて楽しかったです!!応援してます! (11月16日 19時) (レス) @page15 id: a6639cd8da (このIDを非表示/違反報告)
jやよ - これからの展開に想像しながら、更新待ってます! (2023年1月3日 10時) (レス) id: 7c8c23da7c (このIDを非表示/違反報告)
名無しの中学生 - 最初から読みました続き楽しみに待っています! (2022年3月7日 18時) (レス) id: 2f57e3c309 (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - 初めから読みました!!めっちゃ続きが気になります!!更新頑張ってください! (2021年5月24日 15時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)
かめきち - 神ですか?一回読んだだけで大好きです!応援してます (2021年5月6日 22時) (レス) id: d0a08c8863 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:皐月 | 作成日時:2021年2月27日 19時

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