【イナオリ】新人さんは、幽霊さん【男主】 (ページ15)

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第１３話星ページ15

ため息をつきながら、一星は薄暗い部屋の中でため息をついた。つい先日まで、イナズマジャパンを負けさせようとしていた自分がどうして彼らに顔向けができる。
明日人や野坂たちが認めてくれているのは理解していたがそれでもまだ自分の気持ちに踏ん切りがついてはいなかった。

『まぁ、僕もほんの少し悪いと思ってるけどね』

深いため息を横目にAはそっと部屋に侵入した。一星に手を伸ばす。だがまたしても電気が通ったような痺れと痛みが触れようとした指先を引き戻した。
現在、Aが入れない選手、つまり彼の姿が見えていないのは野坂と一星だけで、それ以外には何かしらの練習で遮られることなく入ることができていた。

『……サッカーが嫌いってわけじゃないよね』

Aは確認するように呟いた。プレーを見ればその気持ちは明らかだった。
だが、それだけでは足りないのかもしれない。

『やっぱりまだ、気持ち的に整理がついてないのか、それか本格的に拒絶されてるか』

後者だったら嫌だなぁ、とAが言うとちょうど岩戸がシャワーから帰ってきたようで、一星に声をかけた。すぐにAにも声をかけようとしたが、本人がそっと口元に手を当て、しーっ、と口止めするように笑って見せたため岩戸はあえてAのことは伏せて一星と普通に話し始めた。

『意外と演技力あるんだなあ』

Aはじっと岩戸を見る。だが岩戸も嘘をつくのは苦手らしく話しの間にちらちらとAの方を見てしまっている。思わず会話してしまわないように時折口を押さえているため一星にはやがて気づかれてしまうだろう。
早めに退散したほうがいいな、とAはそそくさと扉から抜け出して、これからどうしようかと唸った。

『……まぁ、なんとかなるよね！まずは野坂だ』

やる気を出すために突き出した拳を見て、通りすがりの不動は、青春だねぇと小さく呟いた。