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絶望は優雅を生む 2 ページ6

親は子を選べないという。子は親を選べないという。果たしてどちらが不幸なのだろうか?

私は子だと思う。親は生む選択肢を選べるのに対して、子は選択肢など最初から与えられてないからだ。

「どうして私を産んだのだろう」

女が嫌なら私を生まなければいいし、捨てればよかったのではないのか。親の考えなど私は知らないし、知りたくもない。


生きる意味とは何か。私はずっとそれを考えていた。



そんな生活を続けて十五年と少し。もうすぐ私が十六になるころ、転機が訪れた。


その日は、退屈しのぎで書斎で本を読んでいた。臆病な自尊心をもった主人公の友人が、ある日虎になってしまう、そんな話。

私は主人公の友のようになりたかった。虎になって自由に外を駆け回りたかった。もしなれるのなら、もう人間に戻れなくてもいい。それくらい、私は外の世界に憧れていた。

視界一面に広がる青空。鼻をくすぶる草木の匂い。ああ、きっとそんなところを駆けたらどんなに良いものか。

そんなことを考えながら本の頁をめくっていると、ふと腕に違和感を感じた。何と花や草木が腕から大量に発生していたのだ。

―――どういう原理かしら。こんな現象、本にも書いていない。怖い。

驚いて声もでない中、運悪く母が書斎へと入ってきた。

「あ、」

「……!?何ですか、その腕は…!」

まずい。絶対に気持ち悪がられている。またぶたれるかもしれない。
母はそのまま私に近づいて、私の腕を掴んだ。ぎりぎりと強く握られ、痛かったが何とか痛みに耐えて答える。

「これは……その…本を読んでいたら突然こんなことに…」

「……」

母はその時、黙ったまま私の腕を見て、なにかを思案していた。

「…それは、植物以外も出せるのですか?」

「……え?」

ようやく母が言葉を発したかと思ったが、云っている意味がわからなかった。植物以外も出せるのか。そもそも私の意志でこの現象がおこっているのかさえもわからない。
何の意図があってそのようなことをいったのか、まだその時はわからなかった。



これが私の異能力が目覚めた時のことである。

どうやら私が望むと、望んだものが創造されるらしい。私はあの時、虎が草木の中を駆け巡る場面を想像した。だから、あの現象が起こったのだと思う。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 中島敦   
作品ジャンル:恋愛
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時

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