検索窓
今日:12 hit、昨日:2 hit、合計:7,840 hit

phrase103 ページ5





 ミネラルウォーターで口をゆすいでいたスバルが、遅れてそのダンスの輪のなかにくわわる。


 あっという間に、その場に馴染んだ。



「朝霧先輩との1週間で、すこしは『他人の目』ってやつを視野に入れられるようになった気がする。
 以前の俺と同じだと思ったら、おおまちがいだからな?」



 たしかに、スバルは周りとあわせられている。


 単体でも力強く輝くけれど、周りのみんなの耀きを反射することで、さらに煌(きら)めく。



 ほんとうに、アイドルになるために生まれてきたようだ。


 天性の才覚で、最高に輝く。



 スバルは、やっぱり野に咲く花みたいに自由で天然で____魅力的。


 神さまから愛された、希有な才能をもった男の子なのである。


 その眩しい笑顔が、『Trickstar』にとって何よりの宝物だった。


 単純な技術ならば、北斗のほうが上手だろう。


 しかしスバルは、たまに勝手に驚くほどアレンジするけれど。


 作り手の想像すら軽々と凌駕(りょうが)するような、光を放つ。









____まるで、【彼】みたい......____









 そう思ってしまうのは、当然のことなのだろうか。


 無意識にそう思い、ハッと気がつく。


 何、考えてるんだ...と。



(切りかえないと、ね)



 現実に戻されると、いつの間にか真緒もくわわっている。


 並んで、今、彼女の目の前で、輝く。









「どう、どう? 俺たちのパフォーマンス♪」



 自由に踊り終えた4人。


 元気なスバルに、すこし疲れたようすの北斗と真緒、そして息の荒れている真。


 これでも真は、初めの頃と比べるとかなり体力もついてきた。



「そうね。スバルくんは、実力面ではあまり言うことはないけれど、『ぐいぐい』前に来すぎてるわ。

 もうすこし、周りを見る必要があるわね」


「う〜ん、自分ではよくわかんないなぁ......。でも、わかった☆ まだまだ特訓しよ〜!」



 スバルは、ひとりで突っ走りすぎている。


 多少は周りを見ることを意識していたようだが、最中、その気が弱まっている部分があった。



「北斗くんは、もっとやわらかく、柔軟にパフォーマンスしてほしいわね。遠慮がちになってるの。

 周囲に気を遣うのも大切だけれど、まずは、自分自身を主張しなさい」


「......はい、やってみます」



 当てはまる部分があると、自覚しているのだろう。


 すこし考えを巡らせ、返事を返した。



phrase104→←phrase102



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.7/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
34人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:白銀桜夢 | 作成日時:2018年8月9日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。