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真の推理に、北斗は納得した。
彼らと紅郎の接点といえば、その程度だ、少し警戒しすぎたのかもしれない。
ハンカチぐらいあげてもいいし、びみょうな時期だ。
『紅月』の一員と接触するのは、どうなのだろうか。
判断が、難しい。
と、北斗が考えあぐねる。
「一応、念のため警戒しておこう。空手部といえば、荒(あら)くれもので有名だ」
どうだろうか。
本当に、何でもない用件だとは思うのだけれど。
「無視するのも角がたつ、呼びだしに応じるべきだろう」
あくまでも、現実的に判断している。
「でもでもっ、『ひとりで』とは書かれてないから、俺たちも同伴していいんだよね〜？」
「そうだね。一緒に行って、用件を聞く。何かされたら、3人もいるんだし、なんとかなるでしょ。
まぁ鬼龍先輩は、話せばわかる男らしいひとだし、心配ないと思うけど」
スバルの提案したことに真も賛同する。
北斗も、心なしか嬉しそうな表情だ。
「『紅月』のひとりでもある鬼龍先輩と、うまく交渉できれば......。『S1』での対決を、有利に運べるかもしれないしね？」
「う〜む。根回しは好きではないが、手段を選んでいる余裕もないか」
(交渉する必要も、手段を選ぶ必要もないと思うけど......)
と、Aは心のなかで呟いた。
相も変わらず、彼女の体に巻き付いているスバル。
いい加減、離してはどうだろうか......？
「この鬼龍先輩からの呼びたし、吉とでるか凶(きょう)とでるか____」
抱き締めて離さないスバルに、誰も(抱きつかれている本人も)気にも止めることなく____
北斗はなんだか脅すみたいに、怖い顔をして言った。
「すべては、俺たち次第ということだ」
時が経(た)つのはあっという間で、放課後である。
午後の授業も無事乗り越えることができた『Trickstar』の3人は、手紙の呼びだしに応じて、武道場まで徒歩(とほ)で移動した。
やはりこの学院は敷地内が広いので、場所から場所へ移動するだけでくたびれてしまいそうである。
慣れれば、そうでもないのだろうか。
3人(正確には2人)は緊張感を持ちながら武道場の出入り口の前に立つ。
互いに顔を会わせ、意を決して、武道場の扉を叩く。
なぜか植(う)わっている、松の木。
天気は、雨雲だらけだった朝とは一変して快晴で、雲ひとつない。
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作者名：白銀桜夢 | 作成日時：2018年2月10日 16時
