思い馳せる姫君 (ページ30)

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phrase２８ページ30

「すみません、朔間先...」

北斗がバンッと大きな音を立てて軽音部部室の扉を開けた。

　途端、目の前に広がる驚きの光景に3人は驚愕した。

「ガ...っ、ガミさん！！？どうしたの！？」

　晃牙が拘束されていたのだ。

　腕は抵抗しても千切れぬようにと何重にも巻き付けられており、口には猿轡(さるぐつわ)をされている。

「むぐ～っ！？ぐうう～っ！」

　何を言っているのか理解不能である。

　何があって縛られているのかが判らない3人は言葉を失っている。

　そんなところに

「ようこそ、とでも言っておこうかしら」

「おぬしらを待っておったぞ」

　穏やかな声が2つ聞こえてきた。

　そちらを向くと

「朔間先輩、朝霧先輩...！」

　零とAが立っていた。

　Aな限っては、晃牙を縛っているのと同じ縄を持っている。

　彼女が縛ったのだろうか......。

「まぁまぁ、そんなところで突っ立っておらんで。そのへんにクッションとかあるから、座って休むがよかろ」

「そうね。お茶ぐらい出すわ、お客様だもの。

　あぁ、心配しなくても、零はあなたたちのようなヒヨッコをいびって遊ぶ趣味はないわよ。

　もちろん私もね」

　縄を持ったままで言っても説得力のないAである。

「そ、それより、なんでガミさんがあんなことに...」

　スバルが一番重要(？)なことを聞いた。

　聞かれた零は晃牙の方を一目みて

「あぁ、あれかえ？」

　と、少し酷いことを言いながらも経緯を話始めた。

「先日のドリフェスで迷惑をかけたようじゃからのう。謝らんといかんと思ったのじゃ」

　Trickstarの3人と晃牙の頭の中に先日のドリフェス____B1(びーわん)のときのことが流れた。

　晃牙が紅郎に蹴飛ばされ、舞台から投げ出された際、スバルの顔に上手く着地したのだ。

　 ☆phrase１０参照

「むぐ～～！」

「くくく。うちのわんこは躾がなっておらんからのう、すぐに噛みつこうとする。

　謝れと言っておるのにのう、『絶対に謝るのは嫌だ』などと駄々を込めるからのう？

　その時じゃ、良いタイミングでAが来てくれたもんじゃから、Aに頼んで縛ってもらったのじゃ」

(((だからって猿轡......)))

　少し引いた表情で思考が一致したTrickstarの3人。