思い馳せる姫君 (ページ29)

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昼休み____

　午前の授業が一段落したことを告げる鐘の音が、校舎全体に響いている。

　Trickstarの4人は、クラスの違う真緒と合流し、今後の方針について話し合おうと、廊下の隅にいた。

　真緒が教室から出てきたので、早速本題に入ろうとしたのだが...

「わりぃ、北斗。今日は昼休みも放課後も生徒会の仕事があるんだ。またな」

「うん、いってらっしゃい、サリ～！」

　両手を合わせて予定があり参加できないと言った。

「まぁ頑張れよ、北斗」

　一瞬難しい表情をした真緒だったが、すぐにいつもと変わらない笑顔で、北斗にエールを送った。

「ああ」

　芯のある彼の返事を聞いた真緒は手をひらひらと振りながら駆け足で去っていった。

「氷鷹くん？頑張るって何を？」

「ホッケ～、これからどこ行くの？」

　スタスタとどこかへ向かう北斗と、彼の半歩後ろで彼についていく真とスバル。

「軽音部だ」

「軽音部ぅ？」

　質問に、振り向かず返答した北斗の言葉に2人はさらに疑問を深めた。

「今の俺たちには...何が足りないのか、そして何をすべきなのか、理解する必要がある...。

　あの人なら____あの人【たち】なら、そのヒントをくれるかもしれない」

「あの人【たち】...？」

　疑問を抱きながらも、彼の言葉を待つ2人。

　その2人と北斗の表情には、少しからずの希望があった。

「何もとらわれず生徒会に匹敵するほどの力を持つ男...いわばこの学院の特異点『三奇人』の力を借りる！

　そして、あの不思議なプロデューサーの力も...！」

　____三奇人。

　数時間前、零が口にしていた言葉だ。

　圧倒的な権勢を誇る生徒会が唯一、制御できないとされる特異な存在。

　アイドルとしてもアイドルとしても超一流、かつ絶大な名声を誇る夢ノ咲学院の台風の目____

　夢ノ咲学院で、生徒会に対抗しうる3人の傑物。

　それが『三奇人』である。

　この学院の者なら誰でも知っているほどだ。