思い馳せる姫君 (ページ31)

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「謝罪もできない口なら必要ないと思ってね、猿轡ならぬ犬轡を噛ませてあげてるのよ」

「犬のしでかしたことは、飼い主である我輩の責任でもある。どうも素直ではないわんこに代わって、我輩が謝罪しよう」

　エスパーなのか偶然なのか...恐らく後者だとは思うが(そう思いたい)、Aが的確に猿轡をした理由を述べた。

　Aの言葉が終わると、零が晃牙の頭を撫でながら謝罪の言葉を放つ。

「すまんかった、ひとつ借りを作ってしまったのう？」

「別に気にしなくていいのに～？」

　とてもにこやかな笑顔で告げたスバルをよそに、北斗が本題へ移ろうと零に話しかけた。

「朔間先輩...、俺たちを『待っていた』とは...？」

「我輩はこの学院のことならなんでも知っておるよ」

「なら、俺たちがここに来た理由も...きっとわかっているんだろう？」

　北斗は他の2人____スバルと真をおいて淡々と話を進めていく。

　彼ら、Trickstarの3人がここを訪れた理由...スバルと真はそれを知らず北斗についてきたようだ。

「朔間先輩、俺たち『Trickstar』に力を貸してくれないだろうか？

　生徒会と対抗しうる実力者『三奇人』のあなたたちの力が必要なんだ」

　北斗の言葉を聞いた零の口角は愉快そうに上がっていた。

「朝霧A先輩...あなたのプロデューサーとしての力も俺たちに貸してほしい」

　零から視線をはずしてAにも頼み込む北斗。

　Aは小さく息をはいた。

「私は零のついでか何かなのかしら？

　まぁいいわ。

　それにしても、私の名前、知っていたのね。大方佐賀美先生に聞いたんでしょうけど...」

　本当に何か超能力でも使っているのだろうか。

　北斗に彼女の名前を教えたと言うことを即座に当てた。

「____...はぁ...。話はわかったわ。私も、もちろん零も生徒会の暴虐(ぼうぎゃく)は腹を据(す)えているのよ」

「じゃあ...っ！」

「とはいえ」

　Aの言葉に嬉々した真の台詞を遮ったのは、彼女ではなく零だった。

「生徒会に反旗を翻(ひるがえ)すととなれば、そう簡単な仕事ではないからのう」

「零」

「............」

　零の語った内容に何も言えず黙り込むしかない北斗。