あんさんぶるスターズ短編集 (ページ8)

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坂先夏目クリスマスページ8

ー明日の16時、○○公園の時計台の前で待ってるヨ、子猫ちゃんー

宙君が私にクリスマスの予定を聞いてきたのは、こういうことだったのかもしれないと、後で思う。

｢あれっ、ごめんね、待った？｣

午前15時45分。約束の15分前。けれど、私を呼び出した彼はきっちりそこにいた。

｢待ってないヨ。それに、まだ15分前ダ。何も心配することはないヨ、子猫ちゃん｣

さあ行こうカ、と私の手を引いてあるく。今日の予定を何も聞いていないから、これからどこに行くのか、何をするのかも判らない。

10分くらい歩いて着いたのは、映画館だ。夏目君って、映画とか見るのかな。ちょっと想像がつかない。

夏目くんが持っていたのは、最近話題の恋愛映画。確か、５、6年前に夢ノ咲を卒業したアイドルが主人公だったような。

二時間程の映画は、いくら私とは言え、ちょっとキュンとする内容が豊富で。それを悟られまいと必死で顔の赤いのを隠した。

｢さあ、次ダ。｣

当然のように繋がれる手。映画のせいかなんなのかは知らないが、その行動にも胸が高鳴る。

すっかり暗くなってしまった空に、色んな場所のイルミネーションが対照的に映える。夏目君が連れてきたのは、とあるレストランだった。

｢あれ、ここって…｣

｢気づいたカナ？｣

そこは、映画に出てたレストラン。確か、主人公はここで…

｢ボクはネ、君の気持ちがわかる魔法使いじゃないカラ。こうやって少しでも工夫をしたつもりダ。君はこれをどうすル？｣

シルバーのリングに小さな赤い石の着いている指輪。これは、映画ではネックレスだった。

｢真似事ばかりじゃ君の心は奪えないと思ってネ。受け取ってくれル？｣

リングの裏側には、私と夏目君の名前が刻まれていた。こんなの…まるで、プロポーズみたいじゃないか。

｢…はい｣

溢れそうになる涙を堪えて、私は笑った。

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間に合わなかった…
駆け足気味