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遠征のことは直前まで誰にも伝わないよう配慮してくれた

私も二宮隊はもちろん、他のボーダー隊員たちにも伝えていない


遠征を告げられてから数日が経過した

なにもなかったかのように平然と過ごしているのだが…

さっきからずっと視線を感じる


犬飼:……ねぇ


私を見ていた澄ちゃんがポツリと言葉を発する


犬飼:何か隠し事してるでしょ?

咲:……なにが?


澄ちゃんの言葉に心拍数が上がる
……ほんと、勘が良すぎて困る


犬飼:何日か前から様子が変なんだよねー

咲:…へー……
気のせいじゃないかな?


これ以上一緒にいてはバレてしまうと思ったので
離れようとしたとき


ドンッ


私の目の前に澄ちゃんの腕が伸びてきた
いわゆる壁ドンってやつだ

大きな音に肩がビクッと大きくはねる


咲:ちょっ…ビックリするじゃん

犬飼:どこに行くの?

咲:ジュースを買いに…

犬飼:ジュースならさっき俺が買ってきたじゃん


ほら
といって澄ちゃんが指差す方を見ると、テーブルに空き缶が2つ置いてあった


咲:……

犬飼:ジュースもあるし、ゆーっくり話ができるね


満面の笑みで私の手を引きソファに座らせる


犬飼:大丈夫
二宮さんにはなにも言わないから

咲:…なんでもお見通しなんだね

犬飼:咲のことならなんでもわかるよ

咲:フフッ…澄ちゃんには敵わないや
………あのね
私、遠征しようと思うの

犬飼:……それは、…

咲:分かってる
ニノさんが遠征に行かせるべきじゃないって言ってることも…前から知ってた

犬飼:…!


澄ちゃんは少し驚いてる
この話は私以外のみんなにしか話していないことだから


咲:偶然ね、聞いちゃったの
ニノさんの言ってることが正しいと思ったから、なにも言わなかった
でも……今回の遠征は未来が関係してるから…

犬飼:鳩原が…?
どういうこと?

咲: 2年前開いたゲートの追跡結果、いくつかの場所まで絞れたらしくて…
今回、そのうちの1つの国がこちらに接近してくるって分かったの
未来が関係してるなら私が動かないといけない
…未来に逢えたら私の記憶も戻るかもしれない
そんな気がするの
……だからお願いっ!!
ニノさん達には黙っていてほしい





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作者名:K.saku | 作成日時:2019年8月13日 5時

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