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普通科を初めとする、各学科の規則改正。
『革命』が成り、ようやく僕の理想を実現する為の環境が整って。
その新たな1歩であったそれが、しかし、彼女を普通科から
思ってもみなかったんだ。彼女が、そんな事まで、責任を負わされる羽目になるなんて。
あの子は一般人だ。
さしたる家柄でもなく、未来に明確な夢や希望がある訳でもなく、ただ漫然と生きている――何処にでも居るような一少女。
でも彼女はどうにも優秀で、そして、優し過ぎたのだと思う。
困っているひとを見過ごせない人間だった。
それに漬け込まれて、集られて……ズルズルと利用された。
たまに手をやんわりと払っただけで、気取ってるだの何だのと陰口を叩かれ、圧力を掛けられて。
それで仕方なく、押し付けられた沢山の『仕事』を抱えて駆け回る彼女を、『会計委員会』の関係者以外、誰もが指差して笑っていた。
ああ滑稽だ、なんて都合の良い
彼女が必死になって守った筈の場所は、いつの間にか、彼女に牙を剥くモノと化していた。
耐えられなかった。
彼女がどれだけ自分達に尽くしてくれたか知らず、知ろうともせずに、嘲笑うだけの愚かな大衆。
もはや抗弁もせず、ただ淡々と仕事を消化する彼女。
そんな無様な三文劇、続けていたって、何の意味も価値も無い。
彼女が、消費以外の能がない愚かな連中に使い潰されていくのを、見過ごす訳にはいかなかった。
だから、彼女を呼び寄せた。
『プロデュース科』という新たな舞台で、彼女らしい生を、もう一度取り戻して貰う為に……。
「後は、『いつも通り』だからと思考停止し、彼女に全てを押し付け続けた普通科の教師達に、今までのツケを払わせれば良い。
君がいちいち責任を取ったり、気に病む必要は無いよ……喜連川くん」
「……ああ、だろうな。分かってる。そんなの、アイツだって全部分かってただろうよ。
でも、他に居ないなら、もう自分でやるしかないって、そう思っちまう奴だからさ。不陶は」
だから結局、アイツを追い詰めちまったのは、『俺たち』なんだよ。
そう呟いて、自嘲するように笑う彼に掛けられる言葉は、さしもの僕でもすぐに思い付きそうになく。
視線を移した窓の外、舞い散る淡色の花びらを、2人でただ言葉もなく眺めるほか無かった。
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作者名：姫結 | 作成日時：2018年8月28日 13時
