38話 ページ39
笑えば目尻に皺ができるくらいクシャクシャになる笑顔も、
動いたときに揺れる髪の毛も、
握ったら自分よりも小さい手も、
「……。」
『…おーい、聞こえてますか?』
「………好きだわ。」
『…うん、何が?』
「俺、今口に出てた?」
『ばっちり。』
やっちまった。
…まあ、当の本人は『私も好きなんだよね〜!お寿司!』とか、さっきまで何を食べたいか言い合う話を続けてるみてぇだったから、いいや。
手を繋ごうって言ったのは、何かあっても俺が絶対に近くにいれるから。
…2割ほど私情っつーのは、誰にも言えない。
そんな俺が少しの幸せに浸っている間にもポケットの中ではスマホが振動している。
俺が先回りして目的を突き止めて、そんで対処しねぇと俺がAの側にいる資格がなくなる。
何より、この大事な人を自分で守らねぇと。
Aは、命の恩人で、俺の………
『元気ない?』
その声に前を向けば、心配そうな顔で俺の顔を覗き込むAが目の前に。
やべぇ、俺がずっと考え事してたから。
「大丈夫。」
『……そう?
あのさ、何かあったら言ってね?
悠仁くんがそう言ってくれたみたいに、
私だって力になりたいから。』
そういうところだよ。
もちろん、Aは俺が今何を考えてるかなんてわかんねぇと思うし、わかってほしくないんだけど。
自分のことより人のことを考える人だから。
…だからこそ、
「あ、本当に来てくれた…!」
前と同じ公園に、俺は夜中に来ていた。
もちろんAが夢の中にいる間に…って、なんでこの人はこの時間にしっかり起きてんだよ、怖ぇな。
ゆっくりブランコに腰を下ろす。
すでに帰りてぇ。
「あのさ、私なんて呼べばいいかな?下の名前?」
「…や、虎杖でいーよ。」
「じ、じゃあ虎杖くんで。
私のことは紗里でいいからねっ。」
「あのさ、用って何?Aのこと?」
まあ、それ以外ないだろうけど。
……伏黒が、前言ってたことをもう一回しようって思ってんなら、狙われてんのはAだけじゃなくて、
「Aちゃんのこと…もだけど、
何より虎杖くんとお話ししてみたいなっ…て思って。」
やっぱそうくるよな。
だったら、俺のやることは一つだ。
Aに、自分の気持ち言わないでおいてよかったと
この時は心の底からそう思っていた。
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え?)続編おめでとうございます!!! (2022年3月17日 20時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年12月26日 0時